第48回 世界でも珍しい、白いコウモリ

シロヘラコウモリ(哺乳綱:コウモリ目:ヘラコウモリ科)
Honduran white bats, Ectophylla alba
体長:4 cm 撮影地:サラピキ、コスタリカ(写真クリックで拡大)

 低地の熱帯雨林にある熱帯研究機構(Organization for Tropical Studies)のラ・セルバ生物研究所に先週から滞在している。熱帯の環境や動植物を研究している世界的に有名な研究所で、たくさんの観光客や学者、学生たちが訪れる。

 モンテベルデの涼しい環境を離れたくなかったけれど、ハワイの侵入植物の生物防除の試験をしている博士研究員の助っ人としてここにやってきた。指導や情報交換、実験用の幼虫や卵を探したり観察場所を設置したりといった仕事に精を出しているのはもちろんだが、その合間を縫っての写真撮影にも汗を流している。

 今回から数回、この熱帯雨林の動物や自然をご覧いただこう。

 まずは上の写真、世界でも珍しい白いコウモリ、シロヘラコウモリ!
 出会えるのはきわめてまれ。オス1匹、メスの数匹のハーレムをつくって暮らすのだが、オモシロイのはその昼間の居場所。ヘリコニアという植物の大きな葉を屋根にして過ごす。葉の裏にぶら下がり、爪で葉の両端を引き寄せながら中央にある太い葉脈沿いをかじり、両側をテントのように垂れ下がらせるのである。

(写真クリックで拡大)

 この垂れ下がった葉の下にもぐって上を見ると・・・

(写真クリックで拡大)

 ほぼ中央、こんなふうによりそって隠れている。コウモリの周りの薄茶色い葉の点々が爪痕だ。
 ムシ暑い熱帯雨林で出会った生きものたちをお楽しみください。

プエルト・ビエホ川と研究所のキャビン
Río Puerto Viejo/Puerto Viejo River (left), Long-stay researcher’s cabins

左は研究所のそばを流れるプエルト・ビエホ川。熱帯雨林に朝もやがかかる。右はラ・セルバ生物研究所の長期滞在研究用のキャビン。部屋が4つと共同のトイレ、シャワーがある。ぼくは2階手前の部屋に滞在中。
撮影地:サラピキ、コスタリカ(写真クリックで拡大)
ハナナガサシオコウモリ(哺乳綱:コウモリ目:サシオコウモリ科)
Brazilian long-nosed bat, Rhynchonycteris naso
ドイツの研究チームが7年にわたって研究しているコウモリ。体重が3グラムと軽い。キャビンの2階の軒裏に朝から夕方までとまっているが、活動していないわけではない。ゆらゆら風に揺れるように動いたり、歩いたり、コミュニケーションをとったり、交尾をしたりとさまざまだ。腕のリングは個体を識別するためにつけられている。
体長:5 cm 撮影地:サラピキ、コスタリカ(写真クリックで拡大)

コウモリの情報は、ドイツ・フンボルト博物館のLinus Güntherさんにいろいろと教えてもらいました。

訂正:本記事のタイトルおよび本文で、シロヘラコウモリを「世界で唯一の白いコウモリ」と説明していましたが、その後の調べでほかにも数種、白い(または白っぽい)コウモリがいることがわかりました。おわびして訂正いたします。(2016年10月4日)

『ミラクル昆虫ワールド コスタリカ』 西田賢司

西田賢司さんの連載「コスタリカ昆虫中心生活」が本になりました!
スゴイ虫からヘンな虫、美しい虫まで、生物多様性の国コスタリカの魅力満載。デザインは寄藤文平さんです。

定価:1800円+税、128ページ、オールカラー

ナショジオストア アマゾン
西田賢司

西田賢司(にしだ けんじ)

1972年、大阪府生まれ。中学卒業後に米国へ渡り、大学で生物学を専攻する。1998年からコスタリカ大学で蝶や蛾の生態を主に研究。昆虫を見つける目のよさに定評があり、東南アジアやオーストラリア、中南米での調査も依頼される。現在は、コスタリカの大学や世界各国の研究機関から依頼を受けて、昆虫の調査やプロジェクトに携わっている。第5回「モンベル・チャレンジ・アワード」受賞。著書に『わっ! ヘンな虫 探検昆虫学者の珍虫ファイル』(徳間書店)など。
本人のホームページはhttp://www.kenjinishida.net/jp/indexjp.html