第11 回 「正しい養殖」を求めて

©Image Courtesy of Sylvia Earle archives(写真クリックで拡大)

 中国の蘇州は上海にほど近い、壮麗な庭園と大湿地で有名な古都である。ここが私にとって特別な場所となったのは、有名な養魚池をはじめて目にしたときからだ。

 1973年、駆け出しの科学者だった私は、中国側の女性専門家らとの交流事業に招待された。晩餐会には、近隣で栽培・収穫された食材ばかりを使った料理が出された。テーブルには、米やコイ、豆、キャベツ、細切りにしたアヒルの肉などが並んだ。

特別料理はウナギの稚魚

 それから、つやつやした透きとおったヌードルらしきものを小山のように盛りつけた料理が出てきた。よく見ると、黒コショウの粒かと思ったものは目玉で、そのヌードルは何百尾ものウナギの稚魚。私たちへの特別な歓迎の意味で出された一皿だった。シラスウナギと呼ばれるこの細長いウナギの稚魚は、遠い海の産卵場から川をさかのぼってくる途中で採取され、普通は体長1メートルほどの成魚になるまで養魚池で育てられるという。

 中国の農民たちは何千年も前から、土地と水を効果的に利用するために、農業と養殖業を連携させてきた。米と魚を同じ水田で育て、人糞と家畜の糞を作物の肥料にした。彼らが養殖法を確立してきた淡水魚は、成長が早い、草食、味がよい、飼育下で繁殖する、大量に飼育できるといった特徴がある。農家と環境にかかるコストを最小限に抑えつつ、大量に良質のたんぱく質を得ることが目的ならば、これは賢いやり方と言っていいだろう。