第1回 世界一の「豪雪国」、日本の現実

 雪と聞くとなんともいえない郷愁を抱いたり、別方面、たとえば「ホワイトクリスマス」的なロマンティックな思いに駆られたり、様々な感情の動きが生じるように思う。「雪」がもっているイメージ喚起力というのは非常に大きいのではないだろうか。

(写真クリックで拡大)

 たとえば、流行歌。12月に街を歩けば山下達郎の「クリスマス・イブ」がかならずどこからかきこえてくるし、仲間とカラオケに行けば、きっと誰かがレミオロメンの「粉雪」を歌い出す。これらは、ロマンティック要素が濃いケース。別のカラオケ的定番、Glayの「Winter, again」は、ロマンティックと郷愁のミックスチャー。さらにいえば「津軽海峡冬景色」のような国民的名曲もあって、これは郷愁やうら寂しさ方面に針が振れている。長いこと曲を作り続けているアーティストなら1曲や2曲、雪をテーマにした曲があり、イロコイ沙汰の成り行きや、人生の喜び・哀しみを重ね合わせる背景に用いられる。なにせ、雪の降らない沖縄出身のグループでも「雪の曲」を作るくらいだ。「雪」に秘められた深い思い、あるいは雪という真っ白な素材に、ぼくたちが託す思いは本当に多様だ。

 しかし、これはあくまでイメージの世界。雪国本場のリアルな雪は、かなり違う。イメージを常に喚起しつつも、やはりとことんシビアな面があって、災害の要因として対処しなければならない。

 特に、21世紀に入ってからは、その前の10年くらいに比べ、ふたたび雪が多くなっているそうだ。「平成18年豪雪」のように気象庁が後に名前を付けるような「豪雪」、平成23年の豪雪のように、気象研究者がそれに準ずるものとして語る豪雪が起き、防災上も見逃せない問題として浮上している。新潟県長岡市にある独立行政法人・防災科学技術研究所雪氷防災研究センターを訪ねた。

この連載の次の
記事を見る

「研究室に行ってみた。防災科学技術研究所 豪雪防災 佐藤威」最新記事