第1回 世界一の「豪雪国」、日本の現実

 あくまで、人里での事故、というのが防災白書に出てくる数字であるようだ。

 それにしても、死亡事故の主要原因が、屋根雪下ろしとは!

 一方、人的被害とは別に、経済的な損失についてはどうだろうか。

「18年豪雪、23年、24年の豪雪などは全国的に話題になったので、農業被害や除雪費やらを計算したものは見たことがありますが、すべてを網羅してのものはまだないですね。24年の豪雪については、新潟県での道路通行障害についての損失額をわたしたちが試算してみました……こういうことは、対策をする便益を評価するのに必要なので」

 それによると、24年の豪雪での新潟県内での経済的損失は、「大雪による道路通行阻害の走行損失」が12億円、「雪崩の危険性による通行規制に伴う経済損失」が4.5億円、などとされている。あくまでも新潟県内、それも道路の通行障害に限るものであることに注意。

中央の大きなグラフは研究センターで計測した降積雪量を示している。(写真クリックで拡大)

つづく

佐藤威(さとう たけし)

1954年、秋田県生まれ。防災科学技術研究所(NIED)雪氷防災研究センター長。理学博士。東北大学大学院で大気境界層物理学を専攻し、東北大学理学部助手を経て、1988年、国立防災科学技術センターの新庄雪氷防災研究支所へ。主に地吹雪の研究を担当する。2001年、新庄支所長になり、2011年より現職。特に、吹雪の発達やそれによる視程障害について野外観測や低温室における実験により予測モデルを開発し、また、屋根雪の滑落条件の研究などに基づき、事故発生危険度の基準を策定した。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)などがある。サッカー小説『銀河のワールドカップ』風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)は、4月よりNHK総合でアニメ「銀河へキックオフ」として放送中。近著は、独特の生態系をもつニュージーランドを舞台に写真家のパパを追う旅に出る兄妹の冒険物語『12月の夏休み』(偕成社)、天気を「よむ」不思議な能力をもつ一族をめぐる、壮大な“気象科学エンタメ”小説『雲の王』(集英社)(『雲の王』特設サイトはこちら)。
ブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」。ツイッターアカウント@Rsider