第10回 海を守る法律と、国際的な取り組み

©Image Courtesy of Sylvia Earle archives(写真クリックで拡大)

 映画監督のウディ・アレンは1979年、大学を卒業する若者たちに贈るメッセージを『ニューヨーク・タイムズ』紙に寄稿した。メッセージはこんなふうに始まる――。

「歴史を振り返っても、今ほど人類が岐路に直面したことはない。一方の先にあるのは失望と完全なる絶望。もう一方の先にあるのは完全な絶滅だ。さあ、われわれが賢明にも正しい道を選択することを祈ろう」

 だが、道はもう一つある。
 それは、私たちを支える自然システムのなかにある、人類が永続しうる道だ。ただし、そのためには、生物界のほかの住人たちも重要だと理解し、人間の破壊的な行動を食い止め、敬意を払って自然に接することが必要である。

 このもう一つの道についてもっと詳しく知るために、2009年6月、私はスイスのジュネーブで開かれたモーリス・ストロングの80歳の誕生祝賀会と記念会議に出席した。ストロングは立派な実業家であるとともに、効果的な環境保護活動を数多く呼びかけ、実現してきた人物だ。

 この日は国際自然保護連合(IUCN)の本部に、約100人のゲストが集まった。IUCNは1948年に創設され、絶滅のおそれのある野生動植物を記載した「レッドリスト」の作成を始めたことで広く知られる組織だ。現在は1000を超える政府および非政府団体と、160カ国以上の1万1000人近いボランティアの研究者が加入している。ストロングはこの組織の発展に主導的な役割を果たしてきた。