- TOP
- ナショナルジオグラフィック日本版
- 2012年12月号
- ガザ地区の密輸トンネル
ガザ地区の密輸トンネル
建築資材、家畜、パソコン……。パレスチナのガザ地区では、あらゆる物資がトンネル経由で密輸される。
パレスチナ・ガザ地区では、ほとんどの国境検問所と空港、海域がイスラエルによって封鎖され、人々の出入国や物資の輸出入が厳しく制限されている。街は内戦やイスラエルによる攻撃で荒廃し、利用できる農地も限られていて、食料や物資の不足が深刻な状態となっている。
この窮状に立ち向かうためにガザの人々が考案したのが、エジプトとの間に地下トンネルを掘り、それを使って物資を密輸する方法。現在、ガザ地区にはこうした「密輸トンネル」が数百本あると言われ、建築資材や食料、医薬品、衣服、ガソリン、パソコン、家畜、自動車など、ありとあらゆる物資の調達ルートとなっている。
しかし、大半のトンネルは大人ひとりがやっと通れるほどの狭さで、いつ崩れてもおかしくないような粗末な造りだ。坑内では崩落事故や火災が起きるほか、イスラエル軍の空爆に遭うこともある。
密輸トンネルとはどんなものなのか? そこで働く人々のつらい現実とは? ガザ地区の「危険に満ちた生命線」に潜入した。
ガザ地区では、消費財の3分の2がエジプトからトンネル経由で密輸されるそうです。イスラエル軍による空爆で破壊された建物を再建したいと思っても、建築資材を密輸しなければならないという、何とも不条理な現実があります。日本では空爆のニュースはときどき報道されますが、人々の暮らしまではなかなか伝えられません。ガザ住民の窮状を伝える貴重なルポルタージュ。まずは、写真家集団マグナムフォトに所属するパオロ・ペレグリンの写真からご覧ください。(編集T.F)