第8回 気候が変わる、海のシステムが変わる

 その教授は正しかったはずだ。なにしろ彼は一流の生物学者で、私はただの学生だったのだから。講義のテーマは、人間は地球の気候を変えられるかという問題だった。私は話に耳を傾けはしたものの、どうも納得がいかなかった。

 講義はこう続いた。

 地球はあまりにも大きく、人類はあまりにも取るに足りない。人間が都市を築き、森林を農地に変え、川にダムを造り、湿地を埋め立て、石油を燃やし、陸や海の野生生物を絶滅させたからといって、世界の性質は変わらないだろう。人間が何をしようと、あるいは何をするまいと、地球は着実に歩みを続けるだろう。

 私は首をひねりながら、こう質問した。

 「フィラデルフィアやニューヨークでは、空気が田舎と違います。なんだか茶色っぽくて、目がひりひりするんです。それに大都市は冬でも気温が高いでしょう? 夏は舗装道路を裸足で歩くなんてとてもできないけど、芝生はひんやりしていますよね。つまり、ああいうコンクリートの建物とか、道路や車、工場なんかが何らかの影響を及ぼしているとは考えられませんか? それに、植物は酸素を生成して二酸化炭素を吸収しているわけでしょう? 森林や湿地がなくなったら、何かが違ってくるんじゃありませんか?」

 「証拠を見せてごらん」と、教授はにこりともせずに答えた。