• 美瑛町の青池に初雪が降る。池の青さと雪の白さが織りなす美しい瞬間だ。
  • 大豆の天日干し「ニオ積み」。9月下旬から始まるが、最近は機械乾燥が増え、目にする機会も減った。深まる秋色とともに、素晴らしい絵となる。
  • 10月、秋まきの小麦が最も鮮やかな緑色を見せる。なだらかな丘の畑は幾重にも連なり、点在するカラマツの黄葉とともに、印象的な色彩を作り出す。
  • さっきまでの雨で湿った土が夕陽を浴びて赤茶色になった。どんよりした雲と有名な「哲学の木」の影が加わり、素敵な色のハーモニーが生まれた。
  • 収穫を待つ春まきの麦。丘を吹き抜ける風を受けて、金色に輝いて見えた。奥に連なるカラマツのシルエットが、「金色の麦」をさらに引き立てる。夏の日の光景だ。
  • 美瑛町で8月~9月に見られるヒマワリは鑑賞用ではない。二毛作をするこの畑の土を肥やすための緑肥になる。夏の終わりに夕陽を浴びて、小さなヒマワリが広大な畑に咲く光景は壮観である。
  • 収穫間近の麦畑の向こうにきれいな虹が見えた。ここの虹は大きく、端から端まで見ることができる。雨が降っても憂鬱な気分にならないのは、この虹への期待感があるためか。
  • 初秋の早朝には、よく朝霧が出る。朝露に濡れた小麦畑の畦道を歩いていると太陽が昇り、右奥に広がる霧を照らした。そこを歩くだけで幸せな気分に浸れる。
  • 10月に入ると、十勝岳から紅葉が始まりだんだん下に降りてくる。山に近い「青い池」のカラマツも黄葉し、水量が減って透明度の増した池の水との調和が美しい。
  • 2012年元旦、残念ながら青空は見えなかった。しかし辺り一面が雪空に包まれ、雲の薄くなった所から太陽が滲む。その瞬間全てが黄色く見えた! その光景に感動しながら何枚もシャッターを切った。
  • 1月の冷えた朝、気温は-20℃。白樺の林が霧氷に包まれる。雪丘の曲線が描く「青い影」が美しい。遠くに見えるのは芦別岳。美瑛町の雪景色は立体的で平地では見られない光景になる。
  • クリスマスの夕方、太陽が沈んだ後5分間だけ全てが青く見えた。青の瞬間=ブルーモーメントだ。真ん中に夕焼けを挟み、空も雪丘も青く見える。この瞬間の美しさは言葉では表現できない。
  • 夕陽で雪丘が黄金色に染まった頃、一匹のキタキツネがやってきた。早足で歩く姿を望遠レンズでとらえた。雪面にできた、体より大きな影が美しい。冬は毛並も色艶も良く、キタキツネと出会うたびにうれしくなる。
  • 2月の太陽は位置が低い。そのせいで木々の影も長くなる。「家族の木」と呼ばれている3本の木にちょうど太陽が重なった。光と影で表現したいと思い、モノクロにすることを考えながら撮影した。
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 北海道美瑛町の「青い池」に初雪が降る写真で、ナショナル ジオグラフィック写真コンテスト2011のNature部門奨励賞を受賞。本誌2012年11月号では、その「青い池」の写真をはじめ、色とりどりの美瑛の風景を紹介した(上に本誌未掲載作品を含めたフォトギャラリーとして掲載)。

 1960年札幌市生まれ。小さい頃から写真が好きで、中学時代は写真部の部長をつとめた。新聞社のコンテストで入賞したこともある。社会人になって写真から離れた時期もあったが、美瑛の風景で知られる写真家、故前田真三氏の作品に出会って感銘を受け、2001年、同町に移住した。現地でオーベルジュ(料理宿)を経営しながら、撮影を続けている。

 こだわるのは色。

 デジタルカメラで撮った生のデータ(RAWデータ)を色調整したり、レタッチしてJPEG画像に変換する“デジタル現像”に、撮影と同じかそれ以上に時間とエネルギーを費やす。

 「目指しているのは網膜に映る自然な色の再現。新しい風景写真のジャンル『Retina Photo』を提唱しています」

 北海道の自然や文化を、世界に向けてどんどん発信していくつもりだ。

『ナショナル ジオグラフィック日本版』2012年11月号「写真は語る」に、写真を追加して掲載した。

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