第1話 深い荒野にきらめくピンクサファイアの粒子

 アラスカの冬は、鋭く尖った寒さが頬を刺激する。平均気温マイナス30℃。 

 一息一息、息を吸う度に、ぴりぴりっと鼻の粘膜が一瞬で凍り、肺から温められた空気を吐き出す度に、じゅんわりと解けて粘膜がもとに戻る。

 太陽が輝き、スカッと抜けるように晴れていると、そんな寒さも気にならないどころか、気持ちがいい。

 ぴりぴりっと粘膜が凍るその感覚さえも、なんだか病みつきになって、鼻の穴をぷくっと広げてみたくもなる。

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 これほど気温が低いと、空気中の水分も存在を許されず乾燥しきっていて、太陽の光がまるで矢を放つように注がれている。

 辺りは一面の雪。

 湿気のあるモッタリとした雪ではなく、水晶の破片のように結晶化した粒がサクサクと大地を覆っていて、その一粒一粒が蒼茫たる空の青さを一気に吸収していた。

 まるで、氷河の中にでもいるように青く見えて、自分の影さえも青く後ろから着いてくるのだ。 

 極北の力強い太陽の下では、雪白の世界も、ある意味、屈強な青の世界と言っていい。