第54回 今どきよりも伝統がお好き?イギリスのおやつ事情

 ちなみに、山口さんの著書の一つには、エリザベス1世が最後の君主として栄華を極めた王朝、チューダー朝(1485~1603年)の食品作り体験教室の参加リポートがある。当時のキッチンを使い、昔の衣装を身に着けた講師によるバターやチーズといった乳製品作りの教室だったそうだが、イギリスではこうした昔の料理の再現に対する関心が高いよう。と言うのも、以前、ビクトリア時代(ビクトリア女王の治世、1837~1901年)の料理を、やはり当時のキッチンで作るというドキュメンタリーシリーズを見たのを思い出したからだ。

 さて、最後にイギリスのお菓子作りに欠かせない材料の一つをご紹介しよう。カスタードだ。

 カスタードなんて、日本でもよくお菓子に使うじゃないかと言われそうだが、イギリスでカスタードと言えば、バーズ社のインスタントカスタードのこと。これは卵アレルギーで普通のカスタードが食べられない妻のために、夫のアルフレッド・バード氏が開発した卵を含まないパウダー状のカスタード。開発に成功したのは1837年。その後、大々的な宣伝などで一気に全国に広まったと山口さんは解説する。ちなみに、第24回で紹介したクリスマスプディングによく添えられるのも、このカスタードであります。

 その他、「カスタードは、アップルパイや『クランブル』と呼ばれるお菓子によく添えられます」と山口さんは説明してくれる。クランブルとは、フルーツなどの具材に砂糖をかけ、その上にバターや小麦粉、砂糖などをまぜてパン粉状にしたものをトッピングしてオーブンで焼いたお菓子。食事の後に食べる定番デザートの一つだ。

チューダー朝の食品作り教室の風景。まるで時代劇の一場面のよう(写真クリックで拡大)
バーズ社のカスタードのパッケージ。これがイギリスの大定番(写真クリックで拡大)

隊員のおやつなつぶやき