第4回 ゴリラにみる「イクメンの起源」

 もう1人の常駐女性研究者は、アメリカ出身のステイシー・ローゼンバウムだ。

 アメリカのウィスコンシン大学マジソン校で心理学を専攻していたステイシーは、ちょっとした興味で霊長類学の講義に出た。教授は開口一番こう予言した。「この授業は、ここにいるほとんどの者には他の授業と変わらない〈その他大勢〉の一つだが、1人か2人にとっては人生を変えるものになる」

 そして、ステイシーは、霊長類、つまり猿に魅せられ、人生が変わった1人になった。

 卒論のテーマには、大学の研究室で飼育していたワタボウシタマリン(南米の小さな猿)の子育て行動を選んだし、卒業後も博士論文のための研究をしている先輩学生の助手として、マダガスカルの東部遠隔地でシルキーシファカという原猿類の調査に参加した。半年にわたって、外部との連絡もとりにくい山岳地帯での生活だったが、ステイシーは大いに楽しんだ。

 2002年にアメリカに戻ってから、スタンフォード大学の神経科学系の研究室に所属し、実験室での手技の数々を身につけた。有意義な時間だったものの、「実験室は退屈! フィールドに出たい! アフリカに戻りたい!」との想いが日に日につのっていったという。

博士号の取得をめざすステイシー・ローゼンバウム(写真クリックで拡大)
2017年9月号

本誌2017年9月号ではダイアン・フォッシーにまつわる特集「彼女が愛し、守ったゴリラたち」を掲載しています。
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