第4回 ゴリラにみる「イクメンの起源」

 ちなみに、ぼく自身のマウンテンゴリラ体験でも、シルバーバックが、赤ちゃんや、コドモの毛づくろいをする平和な光景が目に焼き付いている。コドモの方も、あの大きなシルバーバック相手に物怖じせず自分からじゃれついて、それでもシルバーバックは意に介さず相手になっていた。そのあたり、実に「いいかんじ」なのだ。ステイシーの研究がどのようなものになるか興味深い。

 そして、最後にやはり、ステイシーも「ダイアン」への慕情とも言える感情を吐露した。

「ここでは、彼女のことを、みんなダイアンと呼ぶんですね。ドクター・フォッシーとか、ダイアン・フォッシーとかではなく。研究者も、彼女を知るルワンダ人も。親しみと、尊敬が一緒になったかんじがします。わたし自身、彼女が成し遂げたことは純粋に凄い! と思います。ダイアンがいなければ、わたしたちはここにいなかったし、マウンテンゴリラもいなくなっていたかもしれない。ここにいるとダイアンを含むゴリラ研究の伝統の中に自分もいるんだなあと感じるんです」 

ゴリラの父性を研究するステイシー。(写真クリックで拡大)

つづく

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)など。サッカー小説『銀河のワールドカップ』風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)は、4月よりNHK総合でアニメ「銀河へキックオフ」として放送中。
ブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」。ツイッターアカウント@Rsider