第4回 ゴリラにみる「イクメンの起源」

 実際の父子関係を特定した上で、ステイシーが博士号論文のために研究しようとしているのは──、 

「ゴリラのオス・コドモの関係は、人間の男性と子どもの関係に似たところがあると言われているんですね。授乳はもちろんできないけれど、遊んであげるのは人間の男性もよくやりますよね。社会構成としても、フレキシブルだし。今、生理学的な研究として、プロラクチンとテストステロンというホルモンに注目しています。ワタボウシタマリンも、他の霊長類でも、オスにプロラクチンが多いと子育てに参加しがちだという説があります。一方で、睾丸から分泌されるテストステロンが多いと攻撃的になるので、子どもが産まれると、オスもこれが下がる種が多いんですよ」

 20世紀後半からの本格的な研究開始以来、ゴリラの群れは、「家族の起源」「父性の起源」といったトピックをめぐって、人口に膾炙してきた。この点については、日本のゴリラ研究者で、国際霊長学会会長を務めた山極寿一・京都大学教授の『ゴリラ』(東京大学出版会)にも詳しい。ステイシーはそこにあらたな知見を付け加えたいと願っている。

子どもと遊ぶシルバーバック。(写真クリックで拡大)