第2回「母親の気持ちとか、すごく通じる」

(写真クリックで拡大)

 現在のカリソケ研究所は、国立公園に近い町の目抜き通りに面してたたずんでいる。

 緑色の扉に「カリソケ・リサーチ・センター」と書いてあるが、表からは奥の建物はほとんど見えない。見えたとしても、茶色い屋根の民家くらいにしか思えないだろう。それでもここは、世界のゴリラ研究者の間で一目置かれる、由緒正しい研究所なのである。

 カリソケ研究所を拠点にして活躍している3人の女性のうち、最初に話をうかがったのは、森啓子さんだった。森さんは、その名で分かる通り日本人だ。目下、日本人で一番、ヴォルカン国立公園のマウンテンゴリラたちに詳しい人物と言って差し支えない。

 研究者ではなく、動物番組を手がけてきたテレビのディレクターである。ちなみに、カリソケ研究所では、『霧のなかのゴリラ』でも言及されているように、伝統的にジャーナリストを受け入れてきており、とりわけナショナル ジオグラフィック誌やいくつかのテレビ局は研究所の存続にも貢献してきた。

 ぼくは森さんを、その流れの中に見る。たまたま、日本語を話す人が、そのような立場に今あるのは、すごくラッキーなことだし、後で述べるように必然も感じる。

 だから、森さんにざっくりと、ヴォルカン国立公園のマウンテンゴリラについて語ってもらおう。

動物番組のディレクターの森啓子さん。(写真クリックで拡大)
2017年9月号

本誌2017年9月号ではダイアン・フォッシーにまつわる特集「彼女が愛し、守ったゴリラたち」を掲載しています。
Webでの紹介記事はこちら。フォトギャラリーはこちらです。

ナショジオストア アマゾン