特集ダイジェスト

かつてジャングルに隠れ里を築いたブラジルの逃亡奴隷たち。数世紀にわたる彼らの闘いを追った。

 ヨーロッパ人はかつて南北の米大陸に、アフリカから多くの黒人奴隷を連れてきた。奴隷制が行われた時代は数世紀に及び、農園や鉱山での過酷な労働に耐えかねた奴隷たちは次から次へと逃亡、奥地へと逃げ込んだ。「マルーン」と呼ばれた彼ら逃亡奴隷たちは、先住民とともに各地で共同体を形成していった。

 迫害と差別の後には忘却が訪れた。ブラジル奥地に形成された逃亡奴隷の集落「キロンボ」では、忘れ去られた奴隷たちの末裔がひっそりと暮らしていた。ところが、アマゾン川流域に開発の手が及ぶと、鉱山開発や森林伐採の横行とともに、長年暮らした土地を追われる住民が続出。土地の所有権を求めて、抗議の声が上がりはじめた。ブラジルではここへ来てついに、彼らの存在が認められつつある。自由な暮らしを求め、人間としての権利を求めた彼らの、数世紀にわたる闘いの歴史をひもとく。

編集者から

 「奴隷制なんて遠い昔の話でしょ」。島国日本でのほほんと暮らしているうちに、ふと気づくとそんな感覚に陥っていたりします。そんな生ぬるい考えを、この特集は吹き飛ばしてくれます。現在、ブラジルにはかつての逃亡奴隷が築いた集落が5000カ所以上もあると言われています。多くの集落がアマゾン流域に集中していて、その面積は少なくとも30万平方キロ。日本の本州と北海道を合わせた広さにほぼ匹敵する規模です。ジャングルの中で歯を食いしばって生き延びた逃亡奴隷とその子孫たちの闘志と生命力を感じずにはいられません。(編集M.N)

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