第5回 “悪夢”を二度と繰り返さないために

 いずれにしても、なぜ、そのようなギャップが起きるのだろう。今の子どもたちは、防災教育なるものを、地域によって軽重はあれ、ある程度、受けてきている。しかし、今の親の世代が、実際の災害にも多く遭わず、教育も受けてこなかった背景には、地球規模の現象が隠されているという。

「大きな地震や津波の頻度を統計的に見ると、やはり今、増えてるんです。世界中のデータを集めてきますと、50年周期くらいになります。今21世紀ですよね。マグニチュード9.5のチリ地震が1960年。日本でも三陸や北海道で津波被害が出ました。そして、マグニチュード8.7のアラスカが64年。で、カムチャッカでもあの頃に起きてる。そして、半世紀たった今、スマトラ島沖、チリ沖、そして今回の巨大地震が続いています」

 今は地球全体の活動が増えている時期。

 こと日本に関して……今後、東北地方太平洋岸の復興に際して、津波工学の知識は必須になる。

 それは当然として、東海地震、東南海地震、南海地震といった、南海トラフで起きる大地震、さらにはそれらが連動した巨大地震の可能性を考えると、津波工学は実に大きな役割りを負っている。

防災教育の一環でつくった「防災拭い」。一般住民へのトータルなアプローチが防災活動には不可欠だ。
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おわり

今村文彦(いまむら ふみひこ)

1961年、山梨県生まれ。工学博士。東北大学教授。東北大学附属災害制御研究センター・センター長。専門は津波工学および海岸工学。学生時代から津波の災害対策に関心を寄せ、東北大学工学部助手、同工学研究科附属災害制御研究センター助教授を経て、現在は津波工学の最先端の研究教育と地域の防災力の向上に幅広く貢献している。自然災害学会会長、内閣府中央防災会議専門調査会委員など各種委員も務めている。

川端裕人(かわばた ひろと)

1964年、兵庫県明石市生まれ。千葉県千葉市育ち。文筆家。小説作品に、少年たちの川をめぐる物語『川の名前』(ハヤカワ文庫JA)、感染症制圧の10日間を描いた小説『エピデミック』(角川文庫)、数学史上最大の難問に挑む少年少女を描いたファンタジー『算数宇宙の冒険・アリスメトリック!』(実業之日本社文庫)など。ノンフィクションに、自身の体験を元にした『PTA再活用論 ──悩ましき現実を超えて』(中公新書クラレ)、アメリカの動物園をめぐる『動物園にできること』(文春文庫)など。サッカー小説『銀河のワールドカップ』風のダンデライオン 銀河のワールドカップ ガールズ』(ともに集英社文庫)は、4月よりNHK総合で「銀河へキックオフ」としてアニメ化される。
ブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」。ツイッターアカウント@Rsider