第2回 実は“2つの津波”が重なっていた

 世界的に観測史上初。もちろん、観測網が稠密(ちゅうみつ)な日本で起こったからこそ捉えられたのであって、過去に他にも事例はあったのだろう。しかし、それをきちんと観測できたのはこれがはじめてなのだ。

 では、基本的に長周期である津波に、短周期の津波が上乗せされるメカニズムはどうなっているのだろう。

「それは、今まさに議論をしてます。まず、太平洋プレートが我々の住んでいる日本列島の下のプレートに沈み込み、陸側のプレートを引っ張り込んで、それが耐えきれなくなったところで、破壊が起こり、跳ね上がってくるというのが津波を起こす地震の平均的な発生メカニズムなんですね。ところが、浅いところにあるプレート境界の先端で、特別な地層があるかもしれない、と。柔らかい層ですとか、より跳ね上がりやすい成分で出来ている部分があるのではないか。もう一つは、プレートが沈み込んで、陸地側のプレートを引っ張ってくるとき、傾きはせいぜい20度程度なんですね。ところが、この主断層に分岐が時々入ったりします。分岐が入ると、角度が急になり、幅が短くなります。同じ2メートル断層がずれたとしても、ポコッと急に上がる形になるんですね。それが第2の可能性です。第3ですが、こういうところで海底地滑りみたいなものが起きたら、局所的に津波が発生するかもしれない──」

「分岐断層」が存在すると、短周期の津波が起こる可能性がある。(画像クリックで拡大)

 特別な柔らかい地層(そういう場所で起きた地震は、津波を誘発しやすく「津波地震」と呼ばれるそうだ)、分岐断層、海底地滑り、といった可能性の中で、どれとは特定できないものの(全部起きた、ということだってありえる)、津波研究に新たな問いが課せられたといえる。