第5回 これからの「教育」の話をしよう

 最後に、このテーマとかかわる中で、ぼくにも、たぶん子どもを持つ読者にも、非常に関心が高いと思われる、「教育」について話を聞こう。

 安藤さん自身、文学部で教育学の分野に軸足を置いており、そもそも行動遺伝学の世界に入門した背景には、教育学的な興味が背景にあった。

 双子研究が明らかにしつつある、遺伝と環境の交互作用をふまえたとき、ぼくたちの社会において、教育はどのようにあるべきなのだろう。

 まず、安藤さんは、優生思想を警戒するあまり、今の知見を教育に反映させないのはおかしいと述べる。

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「遺伝要因があるのが当たり前だったとしたら、ちゃんとそれに基づいて教育の思想をつくらなきゃいけないはずなのに、それがなされてないんです。遺伝影響を、よかれと思って無視している。それによって、平等を作り出しているつもりなんでしょうが、それだと、本来ある遺伝的なものから、おのずと出てきてしまって生じる不平等だとか、不幸について無視することになる。環境を整えてやったにもかかわらず不幸になっちゃったんだから、自己責任でしょうって。これは、まさに事実上、優生的状態になってしまいかねないわけです。だから、教育の目的についての発想を180度転換すべきだと思うんです」

2012年1月号特集「双子が明かす生命の不思議」
本誌でも世界の双子研究の最前線をレポートしています。ぜひあわせてご覧ください。フォトギャラリーもあるWebでの記事の紹介はこちら。