第2回 「知能指数は80%遺伝」の衝撃

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「わたしがやっている双生児法の研究は、オリジナリティなんてないんです」と安藤さんは笑いながら言う。

「学説史的にいえば、古くは19世紀、チャールズ・ダーウィンの従兄で、生物統計学の祖のひとり、フランシス・ゴールトンがすでに双子に興味を持っていました。その頃はまだ一卵性と二卵性の区別がなかったので、血縁者はこんなに似ていて、特に双子はこれほど似ている、とかやっていたわけです。のちに集団遺伝学や育種学につながっていく研究です」

 フランシス・ゴールトンといえば、人間の才能が遺伝によって受け継がれると主張した人物で、はじめて「優生学(Eugenics)」という今日、きわめて評判の悪い言葉を使い、広めたことでも知られている(なお、当時、遺伝子は発見されていなかった。念のため)。しかし、彼が晩年につくった研究所と教授職は、優生学を大テーマにしつつ、ピアソン、フィッシャーといった現代の統計学を形作った天才たちを輩出した。これは本当にすごいことだ。目下、彼らが基礎固めした統計学は、その道具なしにほとんどの分野で科学論文も書けないほど重要な位置を占めている。ピアソンが統計学を「科学の文法」と位置づけたのは、実に慧眼であった。

 なにはともあれ、双子研究に話を限ると──