第1回 遺伝か環境か、それがモンダイだ

 高校の同窓に一卵性の双子がいて、それぞれ違う時期に親しかった経験がある。

「弟」は、快活でひょうきん者。マニアックなアメコミ系のコミックを貸してもらったのを覚えている。「兄」は、ニヒルな笑い方が印象的なクールガイ。これまたマニアックなプログレ系のアナログレコード!(そういう時代だったのです)を貸してくれたっけ。

 一卵性双生児だから容姿は似ているのだが、個性の違いは際立っており、見分けられた。性格だけでなく、趣味も「マニアック」という部分は共通しつつ、違う分野をカバーしていたから、きょうだいで「役割分担」「棲み分け」しているのかな、とぼくは解釈していた。結果、似ていない双子になったのだ、と。

 ところが、それが「一卵性にしては」という前提のもとでの話だと痛感したことがある。ニヒルなはずの兄が、たまたま無邪気に笑っている場面に出会い、ぼくは弟の名で呼びかけた。するととたんに表情が変わり、やれやれ、とばかりに「人違い」である旨を告げられた。

2012年1月号特集「双子が明かす生命の不思議」
本誌でも世界の双子研究の最前線をレポートしています。ぜひあわせてご覧ください。フォトギャラリーもあるWebでの記事の紹介はこちら。