第2回 地図は生きものである。

――石原さんにとって、地図を見る楽しみとはどういうものですか。

 地図は「見る」ものではなく「読む」ものだといわれていますね。僕の場合も「読む」のが地図の楽しさです。

 たとえば、地方のある町へ行ったとします。地図を開くと、僕の知っている別な町が隣にある。距離は近いのに、このふたつの町の間は細い道路が1本しかない。なぜだろうと思って地図をよく見ると、ふたつの町の間に山地がある。すると、ああ、この細い道は山越えの峠道なんだ、この山地のせいで幹線道路は大きく迂回しているんだというようなことがわかってくる。

 それから隣の町に行ったときのことを思い出すと、この町とは生活文化や方言が微妙に違っていたなと気づく。そうか、山で隔てられているから、このふたつの町は文化圏としてはつながっていないんだ。そういうことが地図から見えてくるんです。

 道がどこを通って、どんな施設があるかというようなことだけじゃなくて、土地柄の違いまでも地図から見えてくる。それがおもしろいんだよね。

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