日本版2011年12月号「写真は語る」に、造船の現場をとらえた作品を掲載した(本誌未掲載の写真を追加して上のフォトギャラリーに掲載)。

 「造船所では、ものができてゆく過程と、非日常的な光景が見られる。重さ数百トンから1000トン近くにもなる部品が、ドックで船の形に積み上げられていくさまは圧巻」と語る。ほかにも、巨大コイルがうねる核融合の研究施設や、ギリシャ神殿のように壮大な地下の放水路など、ふだんは一般の人が入れない“非日常空間”を撮影してきた。

 1967年、愛知県生まれ。自動車メーカーのデザイン室や撮影プロダクションを経てフリーとなり、3DのCGなど加工を施した作品を作っていたころ、東京都内の共同溝の撮影に携わった。そこで発見したのが、人間が創造したデザインではない、実用性や機能だけを追求することで自然と生まれてくる「機能美」「構造美」。「つくりものは、現実には勝てない」と思った。

 通常は公開していない施設だから、許可を得て撮影するまでに何年もかかることがある。撮影後も、機密が漏れないよう、作品は厳重なチェックを受ける。そのうえ、そんな大変な段取りを経ても、実際に撮影できるのは1日か2日だけということも多く、「風景写真のように時間制限のない撮影がうらやましいくらい」と笑う。

 好奇心で始めた撮影だが、「被写体は何千億円もかけた国家事業だったり、私たちの生活を下支えする大事な施設だったりするのに、世間にはほとんど知られていない。そのギャップを写真で埋められるんじゃないかと思うようになった。今は好奇心が半分、使命感が半分ですね」

 現在、製鉄所の撮影に取り組んでいる。次のテーマも心に秘めている。

『ナショナル ジオグラフィック日本版』2011年12月号「写真は語る」に、写真を追加して掲載した。