その5 そして悲劇が訪れる

 こうして、日本の非婚率は上がり、人口減少は加速していった。そして山田さんは、こんな悲観的な未来を予測している。

「このままの状況が続けば、劇的な低下はしないまでも、日本の経済水準が落ちていくことは予想される。本当に優秀な人、とくに女性は、チャンスの少ない日本を去って、どんどん海外に流出していくでしょうね。これでまた出生率は低下する。さらに、親と同居してる未婚者の親が亡くなったときが次なる危機の始まり。300万人いるという中年未婚者が実家という受け皿を失ったとき、どんな悲劇がおこるのか。私にも想像はつきません」

 ここでおさらいしてみよう。冒頭で山田さんが紹介した、日本で結婚する男女が減っていった「3つの方程式」は、「男性が結婚後の生活を担う意識が日本ではまだ強いこと」、「その生活を担う若い男性の収入が、不安定、または低下していること」、そして「親と同居しているパラサイトシングルの女性が多く、いつまでも結婚を待ててしまうこと」。

 こうしたジレンマを断ち切る、手立てはないのだろうか。

 山田さんがあげるもののひとつは、子供を産むことが生活の保障になるような社会保障だ。
「少子化を食い止めたフランスでは、シングルマザーでも子供が3人いれば働かなくてもいいと言われるほど、子供を育てる人に、手厚い保障をおこなっている。ちなみに日本にも子ども手当がありますが、やる時期が遅すぎた。日本で年金をもらってる有権者はざっと3割、一方、子ども手当をもらってる有権者は約2割。すでに年金をもらっている有権者のほうが多いんです。数の理論から言っても、子供を育てる若いカップルより、高齢者の声のほうが国に届きやすくなる。子ども手当は、子育てする有権者のほうが多かった20年前に始めていれば話は別ですが、高齢者が増えて政治的声が大きい以上、子ども手当が復活する見通しは少ないですね」