第14話 いざ! キツネ狩りへ

 カナダにいた時、秋になると大発生するバッタの大群に、「やつらは、我々を殺しにやって来るのさ」と、真剣な顔で言う人がいて、大笑いしたことがある。

 それもそのはず、そのバッタの大群ときたら、大平原に現れる白兵部隊のように、地面を覆い尽くしてしまうのだ。

 飛ぶと、バタバタバタっと、ハリセンで連打されているみたいな音がするので、なんだか襲われるような錯覚さえ覚えた。

 ヒッチコック監督の『The Birds』のバッタ版といったところだ。

 ニュージーランドでは、「やつらは、我々の土地を乗っ取るつもりだ」と言う言葉をよく聞く。
 その相手は、さんざん迷惑をかけられているウサギ連中である。

 スージーなど、私が車の運転をしている時に、ウサギが道路の真ん中に飛び出してくると、
「スピードをあげろ~。ひけ~」と、叫ぶ。
 日本人だから、ついついブレーキを踏んでしまうのだが、すると彼女は、
「やつらを、のさばらせるつもり?」
 と、マフィアのような口調で言うのだった。

 そもそもこの島は、哺乳類及び、捕食動物などの危険な生きものがまったくいない、世界的にも珍しい島だった。蛇さえもいないのだ。

 ニュージーランド固有の哺乳類といえば、二種類のコウモリだけで、遠い昔、マオリ族の祖先たちがカヌーのような舟に乗ってやってくるまで、長い間、鳥の楽園だった。

 天敵がいないために、飛ぶことをやめて、翼を退化させてしまった種類も多く、キーウィやタカヘ、カカポ、ウェカ(ヤンバルクイナと同じようなクイナの種類)などが、それである。

 そんな敵のいない島に、ウサギを放したのだから増えるに決まっている。

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