第13話 ブランド

 二頭の子馬たちは、ブランドされることになった。

 ブランドとは、所有者が誰であるか分かるように、火で熱した鉄の刻印を皮ふの表面に押し付けて、印を付ける焼印のことだ。

 西部劇などで、カウボーイたちが、火で熱した鉄の印を牛の尻に押しつけて皮膚を焼く、あれ……である。
 馬たちも、焼印をおされて、正式に競走馬としての登録がなされるという訳だ。

 牛ならまだしも、まさか、馬にも焼印を……? 私は少々、眉間にしわを寄せて想像した。熱そう……。かわいそう……。
 昔の罪人ではあるまいし……。今どき、そんなことをしなくても……。

 ちなみに私が働いていたカナダでは、焼印の代わりにタトゥー(刺青)の登録番号が歯茎に付けられていた。

 私は馬の上唇をめくり上げ、暴れないように馬を押さえる手伝いをしたことがある。

 刺青用の針の束は、すでにスタンプのように番号の形になっていて、登録番号順に並べて、墨を付けて、歯茎に押しつけて、終わりだった。

 痛そうだったけれど、すぐにも餌を与えると、平気でもぐもぐと食べていた。

 レースに出る時など、馬の照合の時に、上唇をめくり上げて番号を見せるのだ。

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