伝統作物が人類を救う?――今後、増え続ける人口を支えていくには、作物の多様性を守ることも必要だ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

シリーズ 70億人の地球 食の未来を守る

伝統作物が人類を救う?――今後、増え続ける人口を支えていくには、作物の多様性を守ることも必要だ。

文=チャールズ・シーバート 写真=ジム・リチャードソン

 人類は飢えから逃れるため、1万年以上かけて、さまざまな植物や動物を利用して、それぞれの土地に適した品種を作り出してきた。しかし今、こうした作物の多様性は急速に失われつつある。過去100年ほどで、世界の作物と家畜の品種の半分以上が消えてしまったとみられ、代わりに、流通させやすく、高収量の限られた品種が、化学肥料や農薬、高栄養の飼料を使って栽培・飼育されているのだ。

 増え続ける世界人口を養うためには、食料の増産が必要だ。しかし、これまでのように、限られた品種を大量生産する農業に頼っていて大丈夫なのだろうか。地球規模の気候変動や新たな病気によって、そうした品種が壊滅的な被害を受ける可能性がある。その場合、新たな品種を開発するには、過去の品種、すなわち、消えつつある品種がどうしても必要となる場合もあるのだ。

 こうした危機を乗り越え、未来の食料供給を確かなものにするため、栽培植物の種子や飼育動物の精子・卵子などを集め、保存する「遺伝子バンク」が世界各地に設立されている。日本の「農業生物資源ジーンバンク」もその一つだ。

 未来の食を守るため、人類が蓄積してきた農業資源が必要とされている。

編集者から

 冒頭の写真は、ノルウェーにある「スバールバル世界種子貯蔵庫」。世界中の作物の種子を永久凍土層の中で保存している「地球最後の日のための貯蔵庫」です。内部はどうなっているのか、見てみたい気もしますが、さすがにノルウェーまで出張する予算は日本版編集部にはありません。ですので、代わりに、日本で作物の種子などを貯蔵している茨城県つくば市の「ジーンバンク」に行ってきました。そのときの短いレポートを本編の後に載せましたので、併せてお読みいただけると幸いです。
 本誌69ページに載っているペルーとボリビアのジャガイモは必見。個人的には「嫁 泣かせ」が気になります。(編集T.F)

参考資料:『地球最後の日のための種子』
スーザン・ドウォーキン著、中里京子訳、文藝春秋

この号の目次へ

最新号

ナショジオクイズ

こちらはイタリア、メディチ家礼拝堂の下に隠されていた部屋。壁の素描はとある高名な芸術家によるものとみられていますが、さて誰でしょう?

  • レオナルド・ダ・ヴィンチ
  • ミケランジェロ
  • エル・グレコ

答えを見る

ナショジオとつながる

メールマガジン無料登録(週2回配信)

メルマガ登録の詳細はこちら

ナショナル ジオグラフィック日本版 バックナンバー