中世のインクと刺さないハチの意外な関係(井手竜也/ハチ研究者)

 また、昆虫が人に与えてくれる恩恵は、昆虫が作るモノだけにとどまらない。近年では、昆虫の構造や生理、生態から得られる情報を積極的に学び、技術開発などに利用しようという動きも活発に行われている。地球上で知られている生物の半数以上は昆虫であり、地球上で最も繁栄した昆虫は、最も身近に自然からの学びを与えてくれる存在といえる。苦手意識を持たれがちな昆虫たちだが、まずはそんな人の役に立ってきた昆虫からでも、彼らに向き合ってみると、案外おもしろい発見があるかもしれない。

 特別展「昆虫」には、そんな昆虫たちと向き合い、昆虫を通して自然を学ぶきっかけがたくさんあふれている。この夏、きっと昆虫を見る目が変わる。

タマバチとタマバチの種ごとに形の違う虫こぶ(写真提供:井手竜也)
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井手 竜也(いで たつや/ハチ研究者)

国立科学博物館動物研究部、陸生無脊椎動物研究グループ所属。植物に「こぶ」をつくる小さなハチ「タマバチ」を研究するほか、DNAバーコーディングを使った生物同定にも携わる。

特別展「昆虫」

本展では、世界に一点だけのヤンバルテナガコガネの「ホロタイプ標本」や、本展の開催に向けマダガスカルで発見してきた新種のセイボウ(青蜂)など、他で は見られない標本が展示される。またこの新種の名前に、選ばれた来場者の名前をつけて新種登録するキャンペーンも実施。昆活マイスター(オフィシャルサポーター)は無類の昆虫好きで知られる俳優の香川照之さんが就任し、香川さんが提案したコンテンツも展示される。

■会期:2018年7月13日(金)~10月8日(月・祝)
■会場:国立科学博物館
■休館日:7月17日(火)、9月3日(月)、9月10日(月)、9月18日(火)、9月25日(火)
■公式ホームページ:http://www.konchuten.jp