第5回 世界をきれいにするカラス、自然の物に巣をかけないツバメ

 こうやって環境の変化に一番すばやく対応できるのが鳥なのだというのが川上さんの主張だ。火山灰をほじくり返して土壌をふたたび表に出したり、フンをすることで海の窒素やリンを陸に運んだり、体に植物の種子をくっつけて飛来したりする。ちなみに、ハワイにしろ、ガラパゴスにしろ、小笠原にしろ、かつて大陸の一部だったことがない「海洋島」に生えている植物のグループの7割ぐらいは、鳥散布型なのだそうだ。

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 ゆえに、いったんリセットされた西之島のような環境でも、鳥が最初にやってきて、土地を利用することで、生態系の復元、あるいは新たな生態系の創出の糸口を作る。

 まずは、島に、鳥、ありき。

 などと言いたくなるような活躍ぶりだ。

「でも、生態系ができ上がってしまうと、鳥ってただの飾りみたいなもので、あんまり役に立ってないように見えちゃうと思うんですよ。森林って植物がメインに見えますし、昆虫が授粉しているなら、鳥はいなくなっても別に困らないんじゃないのかって。多分、短い時間スケールでは、いなくても痛くもかゆくもない種類なんです。でも、長い時間スケールの中で、生物の進化とか分布の拡大とか、そういうのを考える上ではすごく鳥が役に立っているはずなんです。鳥はやっぱり飛ぶっていうすごい能力を持っているので、飛ぶことによって、種子にせよ、花粉にせよ、フンの中の窒素やリンにせよ、いろんなものを拡散してるんですよね」

 生態系の中での鳥の機能は、ミクロよりももっとマクロな方面で発揮されやすい、つまりスケールのでかい種類なのだ。これが本当なら、鳥についてのイメージが変わる。今、ぼくたちを取り巻く生態系の立役者として大いにリスペクトだ。

 では、こういった研究をさらに進めた先では、どんな視野が開けると期待できるだろうか。

 川上さんの回答は、なんと「面白い」だった。