波乱を生き抜いた 南の島のトリコロール

森の小川にルリカケスが姿を現した。カラス科のこの鳥は樹上だけでなく、土を掘って食べ物を探すことも多い。(Photograph by HIROZO MAKI)
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掲載した音声は、1年を通じて雌雄が発する「地鳴き」と呼ばれる鳴き声です。(音声提供:松田道生)

 久しぶりの上野動物園。人気のパンダ舎を横目に、正門左手の人けの少ないケージに近づく。金網の中に、瑠璃色、赤褐色、象牙色を身にまとう鳥がいた。奄美群島固有のルリカケスだ。

 この鳥にとって、20世紀は波乱の連続だった。美しい羽根を目当てに1910年代まで乱獲されて激減。19年に禁猟になったが、それで安泰とはいかなかった。生息地である森の開発に加え、ハブ退治を目的に79年に放たれたマングースが襲いかかったのだ。

 波乱の収束は最近。森林開発が落ち着き、マングースが駆除されてからだ。生息数は回復し、2006年に環境省は絶滅の危険が低くなったと判断した。現在は、生息域外で個体群を形成する取り組みが進み、上野動物園では飼育個体での繁殖に成功している。「高い目標ですが、着実にゆっくりと進んでいると思います」と、ルリカケスを長年研究する石田健さんは話す。2月、奄美の森では巣作りが始まっている。

ルリカケス
Garrulus lidthi

全長:およそ38センチ
分布:奄美大島、加計呂麻島、請島
生息環境:森林とその周辺
食性:雑食性、地表でも樹上でも採食
生息数:推定で約700つがい