ツルウメモドキの実を食べにきたアオゲラ。頭頂全体に赤い部分があるのが雄で、後頭だけが雌だ。栃木県那須町で。(Photograph by HIROSHI ANDO/SEBUN PHOTO/amanaimages)
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音声提供:松田道生

 さまざまな色調の緑色が、背から尾羽にかけて繊細に変化するアオゲラ。本州以南、屋久島までに生息する。

 このキツツキが世界へ羽ばたいたのは1830年代。オランダ国立自然史博物館の初代館長コンラート・ヤコブ・テミンクが、出島にいたシーボルトから送られた標本を研究し、新種として発表したのだ。学名には日本での呼び名を取り入れ、種小名をawokeraとした。こうしてアオゲラは科学界でのデビューを果たしたのだった。

 テミンクは少なくとも雌雄の標本を研究したと考えられているが、それらは現在、オランダにない。調べてみると、雄は行方不明だが、雌の標本はオーストリアのウィーン自然史博物館にあった。「1841年にほかの標本と交換で、テミンクから譲り受けたと記録にあります」と、同館鳥類部門責任者のアニタ・ガマウフが教えてくれた。2世紀前に飛び立った緑色のキツツキは今、音楽の都で翼を休めている。

アオゲラ
Picus awokera

全長:およそ30センチ
分布:本州~屋久島
生息環境:森林、市街・住宅地
食性:昆虫から果実まで食べる雑食性
保全状況:現時点で絶滅の危険は低い。

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