水浴びでもするのか、ヤンバルクイナが水に入っていく。クイナは水辺でよく見られ、漢字で「水鶏」と書く。また、約130種いるクイナのなかには、ヤンバルクイナのように、ほとんど飛べない種も多い。(写真:YOSHITERU EGUCHI)
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ヤンバルクイナのさえずり(繁殖期に雄が縄張り宣言や雌を誘うために発する鳴き声)を聞いてみよう。(音声提供:松田道生)

 沖縄本島北部の山原(やんばる)地域に広がる緑濃い照葉樹の森。こここそ、37年前に新種として発見されたヤンバルクイナが暮らす世界で唯一の場所だ。

 地元で「アガチャー」と呼ばれるこの鳥のある行動を動画で撮影しようと、帝京科学大学の島田将喜准教授たちは森の3カ所に赤外線センサーカメラを設置した。レンズが向けられたのは地面から露出する石。この鳥が大型のカタツムリの殻を石で割って中身を食べる行動が写真に撮られていて、それを科学的に確かめるのが狙いだ。

 延べ230日の撮影期間中、ヤンバルクイナの姿が記録されていたのは28回。動画を解析した結果、個体識別された4羽の成鳥すべてが、カタツムリを石にたたきつけて殻を割って食べていた。「クイナ科の鳥で、石の台を使った採食行動がこうした直接的な証拠によって確認されたのは、ヤンバルクイナが初めてです」と島田さんが教えてくれた。

 山原の森は奄美大島などとともに世界遺産への登録を目指している。そうした動きが、絶滅の危険性がとても高いこの鳥を救うことになればよいのだが……。

ヤンバルクイナ
Gallirallus okinawae

全長:35センチ
食性:主にカタツムリ、ミミズ、昆虫など。
保全状況:生息数は推定で約1500羽。近い将来に野生での絶滅が危惧されている。
主な脅威:野生化したマングースやイエネコ、森林開発、交通事故。

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