第3回 目の動きや身ぶりで嘘を見破れないこれだけの理由

「おいしいね。おいしい(笑) 後味が──すごいおいしいと思います。うーん、なんだろう。深い、深くて、何杯でもいけちゃうなって思います。おいしい。おいしい(笑)」

村井さんが教鞭をとる文京学院大学ふじみ野キャンパス。
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 画面の中で、女子学生が手に持ったコップの中の液体を飲みながら感想を語る。村井さんが、文京学院大学人間学部心理学科3年生の授業で行った、「嘘を見破ることについての実験」用の映像の1コマだ。

 さて、彼女の言明は嘘か本当か。彼女は、本当に「おいしい」と思っているのか、それとも、本当は「まずい」と思いながら「おいしい」と言っているのか。

「なんだろう、すっごい苦いし……色悪いし……なんか粉浮いてるし(笑) まっずい、すごーい。なんだろう……鼻が痛いです」

 別の女子学生が同じセッティングで、コップの中の液体を評する。さて、彼女の言明も、嘘か本当か。

 結論は、両方とも嘘、だったのだが、その映像を見ながらぼくがつくづく思ったのは、リアルタイムで対話しているわけでもないのに、つい顔ばかりみてしまう、ということだ。2人とも、特に視線が泳ぐこともなかった。

 また、ぼくと一緒にこれらの映像を見た数人の中で、嘘なのか本当なのか予想が、真っ二つに分かれたことも印象的だった。答えは2つに1つだから、半数は正答なわけだが、逆に言えば半分は誤答したことになる。

本誌2017年6月号でも特集「なぜ人は嘘をつく?」を掲載しています。Webでの紹介記事はこちら