第5回 美しい山を求めて登り続ける

――よりよいコンディションで山に向かうために、どのようなトレーニングをしていますか?

 体力をキープするのに、毎日のトレーニングは欠かせません。クライミング、マウンテンランニング、アイスクライミング、バックカントリースキー、さらに室内でできる体幹トレーニングも。子供の頃からスポーツには親しんでいますし、スポーツをするのは私のライフスタイルなのです。

――これから山に登ってみたいと思う人に、アドバイスをお願いします。

 最も大切なのは、心から「山に登りたい」と思う純粋な気持ちを持つことです。有名になりたいとか、記録を作るとかではなく、山を愛し、向かい合うこと。いきなり高い山を目指すのでなく、ステップアップし、準備していくこと。そしていざ山に向かうことになったら、登らなくてはならないという義務感や強制ではなく、登りたいと思う気持ちを大切にしながら、山とよい関係を持ち、楽しむことです。

――山とよい関係を持つ。山を愛するゲルリンデさんならではの考えですね。

 大きく、圧倒的な力を持つ自然に人間が逆らうことはできません。自然の中で、人間はとても小さいものです。自然への敬意を持ってください。たとえ登頂できなかったとしても、登山で得られたすべてのものが自然からのプレゼントなのです。

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おわり

ナショナル ジオグラフィックに登場したゲルリンデさんの記事

2012年4月号「K2 非情の山に魅せられた女性」
エベレストよりも困難と言われる世界第2の高峰、K2に挑んだゲルリンデさんたちの苦闘を描く。

リスクテイカー ゲルリンデ・カルテンブルンナー
危険を覚悟で自分の信じた道を突き進む「リスクテイカー」の一人としてミニ・インタビューを掲載。

ゲルリンデ・カルテンブルンナー

1970年、オーストリア生まれ。村の神父に連れられたことがきっかけで登山に開眼。23歳のとき、ブロード・ピークの山頂直前まで登った際に得た充実感により、高所登山への思いが募るように。看護師として働きながら時間と資金を作り登山を続けていたが、2003年にプロ登山家に転身。以来、毎年ヒマラヤ、カラコルムへの遠征を続け、2011年8月23日、K2に登頂し、女性初の8000m峰14座無酸素登頂を成し遂げた。
オフィシャルサイト http://www.gerlinde-kaltenbrunner.at/en/


西野淑子(にしの としこ)

1969年、山口県生まれ。大学卒業後、旅行ガイドブックを多く手がける出版社を経て、1999年よりフリーランスライター&編集者として独立。趣味は登山と茶道。登山は1999年からはじめ、現在は関東近郊の低山歩きから、アルパインクライミング、冬山登山など、オールラウンドに楽しみつつ、専門誌『山と溪谷』(山と溪谷社)(東京新聞出版部)などでも活躍している。主な著書に『東京近郊ゆる登山 (ブルーガイド)』(実業之日本社)、『女子のための!週末登山』(大和書房)、『もっと行きたい! 東京近郊ゆる登山 (ブルーガイド)』(実業之日本社)、『山歩きスタートブック』(技術評論社)などがある。