第4回 私が酸素を必要としない理由

2009年、ゲルリンデさんが竹内洋岳(たけうち ひろたか)さんとローツェ遠征したとき(写真提供=ゲルリンデ・カルテンブルンナー)
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――ゲルリンデさんの登山に影響を与えた人たちのことを教えてください。

 まずは、私を山に導いてくれた村の神父さんですね。私の両親も、5人の兄弟姉妹も、登山を趣味にはしていませんでしたので、彼との出会いが全てだったと思います。2002年に登頂したマナスル以降は、ラルフとヒロタカと山に行くことが多くなりました。

――ドイツの登山家、ラルフ・ドゥイモビッツさんと、日本人で初めて8000m峰14座すべてを登頂した登山家の竹内洋岳(たけうち ひろたか)さんですね。

 はい。3人で何度も8000m峰を登りました。ヒロとは、彼がラルフの公募登山に参加したことがきっかけで、一緒に山に登るようになったのです。みんなとてもタフなクライマーであり、私たちはバランスのとれたよいチームでした。

――以前、 竹内さんにインタビューをしたとき、彼はゲルリンデさんのことを嬉しそうに話してくれました。

 彼は素晴らしいクライマーです。体力だけでなく、メンタルもとても強い。いつも落ち着いて、8000mの地点でも、街中にいるときと同じように穏やかに平常心で過ごしていました。彼とはフィーリングがぴったり合うんです。2カ月近くずっと行動をともにする高所登山では、一緒にいるときの関係性はとても重要。彼との登山では、トラブルもストレスもなく、私も心地よく過ごせたのです。

Webナショジオ・インタビュー「プロ登山家 竹内洋岳」

日本人初の14座完登者となったのが、プロ登山家の竹内洋岳さん。さまざまな困難を乗り越えて成し遂げた偉業を振り返りつつ、山にかける思いを聞いた。(インタビュー・文=西野淑子/写真=田中良知)