第6回 宇宙人はいるのか? 火星で見つかった怪現象

■微生物なら存在する?

 一方で、スフィンクスをつくったりたき火をしたりする火星人はいないにせよ、微生物であれば火星にも存在する可能性がある。

 火星に生命の兆候を探す科学者たちは、火星大気中のメタン濃度が十年単位でどう変化するかという測定結果に注目している。だから、2013年11月、探査車キュリオシティによる観測結果が出た時には大騒ぎになった。メタン濃度がいきなり10倍に跳ね上がったのだ。

2012年に火星に降り立ったNASAの探査車キュリオシティ。(NASA/JPL-Caltech/MSSS)
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 この発見はいくつかの理由で不可解なものだった。一つは、それまでの見積もりでは、火星でメタンが放出されると、その大気中に300年ほど留まると予想されていた。それが覆ったのだ。予想に反してメタンの突然の上昇は「6週間もすると消えてしまった」とウェブスターは言う。

 メタンの突然の上昇が地球外微生物の存在を示す兆候かどうか、議論はさらに白熱した。地球ではメタン、つまり天然ガスはたいていの場合、餌を消化した微生物が放出する。しかしNASAのキュリオシティ探査車チームは、このメタン急増が地質学的なものか生物学的なものかを区別する手立てがないという。

 米国バージニア州ウィリアムズバーグにあるウィリアム・アンド・メアリー大学の惑星科学者で、この研究にも精通しているジョエル・リバインは、「この結果は実に悩ましい。火星が地質学的に生きていることも驚きだが、生物学的に生きているとなれば、さらに重大な意味がある」と語る。

 キュリオシティは2012年8月の着陸以来、火星大気中のメタン濃度が合計4回急増するのを記録した。1回の増加が続くのはほんの数週間で、メタンガスは探査機の経路上空800メートルのところに留まっていた。NASAチームの科学者スシル・アトレヤは、それは局所的に噴出している兆候だという。

 チーム外の専門家の中には、いつか火星に生きた微生物が見つかるだろうという楽観的な声もある。ワシントンDCにあるカトリック大学の地球物理学者、ヴラディーミル・クラスノポリスキーによれば、楽観派の考えでは、少なくとも過去数百万年にわたり火星の火山活動は絶えていたはずで、メタンの上昇は地質学的な理由ではないという。「細菌が最有力」(クラスノポリスキー)ということになる。

 これに対しキュリオシティ探査チームは、水と岩の相互作用でもメタンは生じると慎重な見方を示す。火星表面に落ちた隕石の破片に太陽光が照りつけて反応が進んだ可能性があるという。

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