第6回 宇宙人はいるのか? 火星で見つかった怪現象

■「たき火」のような謎の光

 それでもインターネット上には、火星に生命がいると信じて疑わない人たちがいる。2014年には、探査車キュリオシティの右側に載せたカメラが撮影した2枚の写真が熱い議論を巻き起こした。1枚は4月2日、もう1枚はその翌日に撮られたもので、そこには火星の地平から、にじむように光が立ち上っている。不思議なことに、左側のカメラで同じ場所を撮った写真にその光はなかった。これを一部の人は、火星人が火を焚く様子が写っていると信じたのだ。

火星からの画像。赤丸で囲んだ部分に謎の光が写っている。(NASA/JPL-Caltech)
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 キュリオシティ・チームで画像技術を担う科学者ジャスティン・マキは、この騒ぎの火消しに追われることになった。マキは、火星で火が焚かれたのではなく、車載カメラに宇宙線が当たったか、太陽光が岩石で反射したものが写ったのだろうと説明している。

 宇宙線は宇宙の中では当たり前にある存在で、あらゆる方向に飛んでいる荷電粒子だ。たまたまカメラに衝突すれば発光することもある。謎の光が右のカメラだけに写って、左には写らなかった理由はこれだとマキは言う。宇宙線は右のカメラだけに衝突したという理屈だ。

 一方で、岩石が犯人だという考え方も無視できない。火星では太陽光を反射する岩石は、宇宙線と同様ごくありふれたものだ。NASAの探査車もそんな岩石をいくつも見つけているし、探査車から毎週のように届く画像にも写っている。しかし、この現象をとらえたのが右の車載カメラだけというのはやはり妙だ。

 謎の光が2日連続で写ったという事実はどうだろうか。これも不思議と言えば不思議だが、マキによれば、毎週送られてくる何百枚もの写真の中で1パーセントくらいは宇宙線で光るものがある。

「それほど多いのは火星の大気が地球より薄いからだ。火星の大気はあまり宇宙線を遮断しない」とマキは説明する。2日連続で光ってもおかしくないというのだ。

 もちろん、マキの説明で誰もが納得したわけではない。もし、火星人が火を焚いているところが発見されるなら、こんなにも胸がときめくことはないだろう。明らかに誰かの手による巨大な顔が彫られているとか、エイリアンの化石が発見されたとかでもいい。しかし、これまでのところ、そのような展開にはまだなりそうにない。

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