第4回 ネッシーに巨人の骸骨……ミステリーの捏造史

 ネッシー伝説はニセモノをいくつも生み出した。ロバート・ウィルソンが1934年に撮った最も有名な写真でさえ、模型を使った作り物であることが確認されている。

 2003年になって、科学者たちがネス湖近くで本物の海のモンスターの化石を発見したと報じられた。太古の水生爬虫類プレシオサウルスだ。しかしその化石もまた、巧妙ないたずらだったことが判明した。この化石は、ネス湖にはないはずのジュラ紀の石灰岩に覆われていて、海の生物によると思われる穴が開いていた。淡水湖には見られない特徴だ。

 このほか、岸辺に巨大アナゴを放流して、小型の怪物と誤認されることを狙った捏造例もある。

■ネット上で拡散した「巨人の骸骨」

 現代ならではの捏造話もある。今世紀の初めに世界中を騒がせた「巨人の骸骨発見!」のニュースは記憶に新しい。これなどは“ほら話”の典型例だろう。画像ソフトでデジタル処理した“巨人の骸骨の写真”が瞬く間にブログやメールでネット上に伝播し、世界中が騒然となったのだ。

このような骸骨の写真を画像処理ソフトで拡大したものがネットで拡散し、巨人実在の噂が広がった。(spxChrome/iStockphoto)
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 例えば、「ヒンドゥーボイス」というブログでは、2007年3月の記事で、ナショナル ジオグラフィック協会の探索チームがインド軍と一緒に、インドで巨大な骸骨を発掘したと伝えた。記事には「インド北部の最近の調査で、とてつもなく巨大な人骨が発見された」と書かれている。巨人は『マハブ・ハラタ』という紀元前200年頃のヒンドゥー叙事詩に登場する超人族だと書かれた碑文まであったという。

 この捏造はインドだけの話ではなかった。サウジアラビアで18~24メートルの人骨が発見されたというものもあれば、2004年には石油探査チームが同じような発見をしたという話もある。その骨格は、ヒンドゥー教よりもイスラム教の聖典に出て来る巨人の証拠として挙げられた。しかし、それらのすべてがデタラメだったことが判明する。

 偽造に関する仮想博物館の学芸員アレックス・ボーズは、一連の捏造にはある共通点があると言う。かつて世を騒がせた「カーディフの巨人伝説」を思わせるというのだ。これは1869年、ニューヨーク州カーディフで発掘された3メートルにも及ぶ巨大な石膏像のことを指している。多くの人が、このニセモノを、聖書の創世記に書かれた巨人の化石だと信じた。ボーズによれば、一連の捏造は、謎の正体を知りたいという好奇心や、宗教上の伝説・伝承を確かめたいという欲求につけ込んでいるという。

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