第3回 医療大麻で救われる人々と、私も服用してみました!

 コンピュータの画面には、凍りついたような少女の顔が映し出されていた。全身をひきつらせ、痙攣し、呼吸に喘ぐ少女。両目は異様に見開き、右へ左へと激しく動く。母親が、少女の両手を握りしめ「大丈夫よ」と必死に話しかけるのだけれど、症状は一向に治まらない。小児てんかんとは、これほど壮絶な病だったのか。難病と闘う小さな身体を見ていたら、自然と涙がこぼれた。

「エミリーのてんかん発作が始まったのは、生後5カ月の時です(※)。麻疹の予防接種を受けたその日から、1日4、5回もの発作に襲われ始めました。発作は毎回4、5分続きました」

 こう語るのは、少女の父でカリフォルニア州バーバンク市在住のレイ・ミルザベジアンさんだ。

小児てんかんの発作がひどく、入院していた頃のエミリー・ミルザベジアンちゃん。
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「娘は、小児てんかんの中でも深刻なドラベ症候群と診断されました。それからというもの、悪夢のような出来事の連続でした。薬剤を13種類も試し、医者だって8人も代えたのに症状は悪化するばかり。エミリーは、4歳になった頃から話すことすらできなくなり、5歳になると発作が1日150回にも達しました。気がつけば、病院の集中治療室が、娘の住まいのようになってしまったのです」

 2013年のそんなある日、ミルザベジアンさんは、CNNで『WEED(雑草)』と題された特別番組を見る。番組のテーマは、小児てんかんと〈医療用マリファナ〉。とりわけマリファナ(大麻)に含まれる成分、CBD(カンナビジオール)の効用を伝えていた。

『WEED』を見終えた氏は、すぐにコロラド州デンバーに飛ぶ。番組で紹介されたCWボタニカルズ社(現CWヘンプ社)から直接話を聞きたかったからだ。

 コロラド州は、2001年に〈医療用マリファナ〉を合法化した。CWボタニカルズ社は、同州でマリファナ栽培に従事していたが、2012年、ドラベ症候群で生死の淵をさまようシャーロット・フィギちゃん(当時5歳)の両親から依頼を受けてマリファナから精油を抽出。精神活性作用のないCBDの濃度が高く、反対に精神活性作用のあるTHC(テトラヒドロカンナビノール)の濃度が低い独自のCBDオイルを開発した。そして、これを服用したシャーロットちゃんの症状が劇的に改善したことで、CBDオイルに世界的な注目が集まっていたのだった。

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※麻疹の予防接種については、日米ともに生後12カ月以降が推奨されています。