第1回 実は病人が入手しづらい〈医療大麻〉のカラクリ

 初めて〈医療用マリファナ〉と聞いた時、冗談でしょと思った。承知のように、日本では、「大麻取締法」によりマリファナ(大麻)の取扱いは厳しく制限されている。医の現場で、マリファナを使用することはまったく不可能だ。大麻といえば、暴力、衝動、快楽、犯罪のイメージ。実際――これはアメリカでの話なのだけれど――マリファナを吸った友人たちがケタケタと笑い出したのを見て、異様に感じた思い出が私にはある。

 ところがアメリカでは現在、私が住むカリフォルニア州を含む25州とワシントンD.C.が、なんらかの形でマリファナの医療的使用を合法としている。アメリカ以外でも、オランダやカナダ、イスラエル他の先進諸国で、マリファナの医科学的研究がダイナミックに進行中と聞く。

ここカリフォルニアでは、スキャンダルなどなくてもマリファナのニュースをしばしば目にする。
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 でも、私自身はマリファナを吸ったことがないし、〈医療用マリファナ〉も関係ないやというのがこれまでのスタンスだった。

複雑骨折手術後のレントゲン写真。
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 そんな私がマリファナに関心を持ったのは、昨夏、手の甲を複雑骨折した時。痛かった。あまりの痛さに、術後しばらくレントゲン写真を見る勇気がないほどの激痛だった(その後、レントゲンを見てまた具合が悪くなった‥‥)。

 そのため、医師に処方された鎮痛剤を飲み続けたのだけれど、この薬、劇的に効くものの胃痛と吐き気が激しく1カ月間で5キロも痩せてしまった。不安になって薬名を確認すると、「ヒドロコドンーアセトアミノフェン合剤」とある。さらに調べたら、ヒドロコドンはオピオイド(アヘンに似た化合物)で、日本では未承認の麻薬だとわかった。なんと!

 米疾病対策センター(CDC)によれば、2014年のオピオイドによる中毒死(含・ヘロイン)は全米で28647名。365日で割れば、1日あたり78人もが死亡している計算になる。また、これらの中毒死の中には、医師の処方箋がきっかけだったケースも珍しくないという。

 なるほど、そうだったのか、私の鎮痛剤。とにかく依存する前に気づいて良かった、と頷く頭にふとマリファナの文字が浮かぶ。というのも、大統領選で、「オピオイド依存防止のためにマリファナの規制緩和を」と、訴えた候補者がいたことを思い出したからだ。その候補者の話では、マリファナには鎮痛や食欲増進の効果があり、依存もしにくいとのことだった。

 すぐに試す気はなかったが、なんといってもカリフォルニアは、1996年に全米で最初に〈医療用マリファナ〉を合法化した州だ。少なくとも、医者に問い合わせる価値はあるだろう。

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