Episode2 熊だけじゃない、クーガーも潜む海域

 北風が吹き下ろすサンシャイン・コースト沖を北上すると、突然に水路を塞ぐように島が多く点在する、デソレーションサウンドと呼ばれる多島海域になる。

 クックが見落としたファン・デ・フカ海峡は、クックの後継者であったジョージ・バンクーバーによって船が進められ、現在のバンクーバー島が島であることが確認されたが、それまではここが、ドン突きと考えられていた。

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 このデソレーション・サウンドは、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州沿岸の中でも、大物の魚が釣れることで評判で、釣り好きが集まる海域でもある。
 大物などは、大食漢は別として数人の胃袋があっても、1週間で食べ切れないほどの怪物だという。
 この海域に魚釣りに来る人たちは、船で1週間ほど過ごす人が多く、大物が釣れても、すぐに家に持ち帰って冷凍ということができない。
 そのため私の友人などは、初日に1メートル以上のリンコッド(Ling cod、キンムツ)を釣り上げて、その後の食生活が魚ばかりになったと、大きなため息をついていたことがあった。

 しかしながら、私は魚が大好きなので毎日食べても大丈夫。
 ということで、私は奮起した。

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 実はBC州沿岸(特にバンク―バー周辺)は、過去の乱獲から魚が少なく、禁漁規制をしている区間が多い。
 海釣りにもライセンスが必要で、無許可の釣りは懲罰の対象になるため私は、前もって年間の許可書を購入しておいた。
 糸にルアーを付けて水面に投げてみる。釣れたら刺身にして、中骨は味噌汁に入れたい。
 が、……釣れなかった。

 しかし、そんなことよりも、やらなければならない課題が出てきた。
 このデソレーション・サウンドの中には、激しい瀬となる狭い水路が、3つも連続しているのである。
 この航海の、最初の難関である……。