Episode6 冒険家マッケンジーの謎の終着点

 という訳で、カヌーイストたちにとって憧れの大河マッケンジー川は、マッケンジーにとっては、「ハズレ」を引いてしまった川だったのである。 
 そこでマッケンジーは、次に、ピース川という川に目を付けて挑戦する。
 その川は、「大当たり」だった。
 川は西へと流れ、太平洋沿岸部まで辿り着くことができたのである。
 ガイドブックのページの隅に、小さく書かれていた記事は、このピース川からの挑戦の終着点だったのだ。
 そこは、ちょうどオーシャン・フォールズへの通り道でもあるから、これは行くしかない。
 私はさっそく、緯度経度を書き写し海図で確認した。

 ところが、その場所を海図で見てみると、ふと、オカシナことに気付いた。
 アレグサンダー・マッケンジーの探検というのは、ピース川を下り、太平洋に出るというものだ。
 しかし、その終着点の場所は、もちろん太平洋に繋がる多島海の中ではあるが、太平洋の大海を目にすることがない、細く狭い水路の中にあるのである。

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 なぜ、こんな所で、足を止めてしまったのか?
 なぜ、最後まで足を進めて、太平洋の海原を見なかったのか?
 そもそも、横断や縦断、登頂、川下りなど、冒険にチャレンジする人は、達成感を得られるように、ちゃんとゴールを切るものだ。
 なのに、こんな中途半端な所で終わりにするというのは、私には分からなかった。
 私はその海図を眺めながら、首を傾げるばかりだった。そして、私は操舵を握った。
「とりあえず、行こう。そこへ」

 現代のGPSというのは、とても優秀なもので、行きたい所に、ピンポイントで簡単に行くことができる。
 そして、GPSが示す場所に着いてみると、私は周囲を見渡した。
「あれ? なにも無い」

 もう一度、隈なく見渡し、凝らした目にようやく草が生い茂った小さな岩が映り、その上にコンクリート碑のようなものを発見した。
 双眼鏡で覗いてみるが、それでも、あまりよく見えなかった。
 そこで私は、積んできたカヤックを海に浮かべることにした。

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