第65回 男性にも読んでほしい、女性ならではの睡眠障害

(イラスト:三島由美子)
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 前回のテーマは睡眠時間の男女差であった。日本は先進国の中では珍しく女性の睡眠時間が男性よりも短く、とりわけ有職女性でその傾向が著しいことを紹介した。今回は女性ならではの睡眠障害を取り上げる。

 前回紹介したように、健康時の必要睡眠時間や睡眠構造(睡眠の深さや各睡眠段階の比率)には男女間で大きな差異はない。それにもかかわらず、多くの睡眠障害では有病率に男女差がある。例えば、睡眠時無呼吸症候群や夢の内容そのままに体が動いてしまうレム睡眠行動障害は男性に多い。逆に、不眠症、足のほてりやむずむず感で眠れなくなるレストレスレッグス症候群、眠りながらがっつり食べてもまったく覚えていない睡眠関連摂食障害などは女性に多い。

 睡眠障害の有病率に男女差が生じるのは、肥満度やストレスへの抵抗性、自律神経やホルモン分泌機能など睡眠調節に関わる心身機能の障害の受けやすさ(脆弱性)に男女で違いがあるからだ。そのほか、育児、家事、就業などの生活要因が複雑に絡み合う。

 特に、月経周期、妊娠や出産(産褥)、更年期などの女性ホルモンに関連した睡眠障害は女性に特有であり、睡眠障害の中でも非常にユニークな存在である。

 月経がある女性の約1割では、月経の1週間ほど前から腹痛、頭痛、腰痛、乳房痛などさまざまな体の痛み、むくみ、イライラや気分の落ち込みなどの不快な症状が出現する。同時に、不眠や日中の眠気など睡眠にも変化が起こる。

 月経の開始と同時に、もしくは数日以内に症状は自然に消えるとはいえ、ひと月の1/4強をこれらの症状で悩まされるのだから、ご本人にとってはかなり辛い。私の知人の研究者(男性)は「食卓に食器や箸を置く音量の微妙な変化」で奥さんよりも早く(!)兆候を察知し、皿洗いや洗濯物の手伝いを積極的に始めると聞いて、仲間内(男女)でも皆感心しきりであった。当然ながら夫婦仲は良い。

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