第63回 シエスタとるなら昼寝は短めに

 スペインのシエスタといえば長い昼寝をイメージする人が多いと思うが、実際には午後1時頃から2、3時間ほど長めの休憩を取る習慣をさす。もちろん昼寝をする人もいるだろう。しかし、単なる休憩で済ます人も少なくないようだ。

 太陽と情熱の国と言われるスペインでも、さすがに暑さと直射日光を嫌う人が多いらしい。情熱はともかく体熱が上がっては困るので、体調管理のための生活の知恵としてシエスタの習慣が生まれたと考えられている。

 シエスタのような長い昼休み(休憩+昼寝)が社会習慣化している国はスペイン語圏を中心に世界30カ国以上ある。それが証拠に緯度の低い熱帯、亜熱帯地域で多い。

シエスタが文化的に許容されている国々 (WebbとDinges(1989)、睡眠学(日本睡眠学会編、朝倉書店)から一部改変)
【アジア】アフガニスタン、ミャンマー、カンボジア、インド、マレーシア、中国(チベット)、台湾、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン
【アフリカ】ケニア、ナイジェリア、シエラレオネ、ウガンダ、マリ、ブルキナファソ、エチオピア、セネガル
【中東】エジプト、イラン、オマーン、シリア
【ヨーロッパ】ギリシア、セルビア・モンテネグロ、イタリア、スペイン、ポルトガル
【オセアニア】オーストラリア、パプア・ニューギニア、サモア
【北中南米】メキシコ、ブラジル、コロンビア、ハイチ、ジャマイカ、パラグアイ
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 シエスタと聞くと怠け者や生産性の低さというイメージがつきまとう。これは寝不足自慢の日本人に特有な偏見ではなく、知人の米国人や欧州の人々も同様な印象を持っているようだ。しかし少なくともスペインでは夕方から21時過ぎまで店は再開するので、実労働時間はさほど変わらない。

 このような「2相性(夜間睡眠と長い午睡)」の生活リズムはいったん始まるとなかなか抜け出せない。帰宅や就寝時刻が遅くなるだけでなく、長い午睡をとると夜の眠気が減るため、睡眠時間は短くなる。睡眠不足を補うために長い午睡が必要になるという循環である。

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