(イラスト:三島由美子)
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 1983年に、映画『南極物語』が公開された。高倉健さんや夏目雅子さんが出演し、当時はどの映画館も満員御礼の大人気だったようである。

 南極地域観測隊越冬隊(いわゆる越冬隊)が連れて行った樺太犬15匹を悪天候のために昭和基地に残したまま帰任せざるを得なくなったのだが、その1年後に再度南極を訪れた越冬隊員がたくましく生き残っていた兄弟犬タロとジロに再会するという実話を元にした感動物語である。

 私自身は映画を見ていないのだが、タロとジロを、突然やって来た宇宙人が地球に置き去りにした怪獣に見立てた星新一さんのショートショート「探検隊」をたまたま同じ時期に読んだ。

 地球に残された怪獣は人々を食い殺すなど散々大暴れするのだが、どうやら宇宙人のペットだったらしく半年後に宇宙船が舞い戻ってきて回収されていく、という筋である。タロとジロが南極のペンギンやアザラシを餌にして生き延びた事実を前に、美談に浸りきれない星新一さんの思い(怒り)が強く感じられ、妙な形で南極物語が記憶に焼きついている。ちなみに、この星新一さんのショートショートは映画よりも遙か前、タロとジロの生存が話題となった翌年の1960年にはすでに上梓されている。

 前置きが長くなったが、今回は越冬隊員のように極地圏で生活する人の睡眠や体内時計がどうなるか、というお話である。

 一般的に、高緯度地域、つまり北極や南極に近い地域では、冬になると夜に寝つきが悪くなり、朝は起床しにくくなる人が急増する。これは「冬季不眠 mid-winter insomnia」と呼ばれ、例えばノルウェーやスウェーデンでは約4人に1人が悩まされている。

 原因は極夜(きょくや)である。極地圏やその近隣では冬に2カ月ほど日中でも太陽が水平線上に上らず薄明か真っ暗な日々が続き、この現象を極夜と呼ぶ。逆に夏には1日中陽が沈まない白夜(びゃくや)がみられる。こちらは同名のドストエフスキーの小説があり、映画にもなっているので比較的有名だ。

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