第86回 寝てる間に殺人犯になってしまった! そのワケとは

(イラスト:三島由美子)
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 殺人事件には、怨恨にせよ、痴情のもつれにせよ、保険金目当てにせよ、犯行に至る何らかの動機があるのが普通で、推理小説ではさまざまな伏線を辿りながらそれを紐解き犯人探しをするのが楽しみの1つである。

 一方で、世の中には動機がよく分からない殺人事件が起こることもある。そう聞くと通り魔を連想する読者も多いと思うが、今回ご紹介するのはごく普通に生活していたのに睡眠障害が原因となって思いもよらない殺人を犯してしまった人々である。“事実は小説より奇なり”を地で行くような睡眠中に起こった「動機なき殺人事件」とは……。

 寝相の悪いベッドパートナーに悩まされている諸氏はすでにお気づきだろうが、人は睡眠中にもかなり体をよく動かす。何回転も寝返りしたり、手足を大きくばたつかせる、時にはむっくり起き上がるなどかなり激しい動きもみられる。私も子供が小さいときに添い寝をしていて顔面やみぞおちに強烈な「踵落とし」や「エルボードロップ」をくらい、痛みで飛び起きたことは一度や二度ではない。

 健康な人の場合、睡眠中の体動はせいぜい数秒から十数秒くらいしか続かず、終わればまた静かに寝始めるのが普通だ。ところが、ある種の睡眠障害では激しく危険な体動が突発的に起こり、稀ではあるが周囲の人を傷つけたり、殺人にまで至ってしまうことがある。人を殺してしまうような一連の動きはもはや体動(寝相)ではなく行動と呼んだ方が良いだろう。

 国外の事件だが、実際の事例を紹介する。

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