第42回 冬眠という奇跡

 睡眠に関するコラムを連載していることを知っている友人から、「冬眠の話はいつ書くの?」と聞かれたことが何度かある。私自身もこの季節になると、特にネタに窮すると何度も頭に浮かぶのだが、今ひとつ筆が進まないのには2つの理由があった。

 第一の理由は、睡眠を研究している者にとっては、冬眠は何となくアンタッチャブルな存在なのである。冬眠初期の脳は睡眠状態に近いが、体温が更に低下して深い冬眠に入った時の脳活動が通常の深睡眠状態と類似しているのか、はたまた全く違うメカニズムが働いているのか、いまだ解明されていないのである。

 第二の理由は、私自身が冬眠研究に全く関わったことがないからである。私の専門は睡眠医学と時間生物学で、これまでに連載で取り扱ったテーマは自分自身が研究もしくは医療で関わったものばかりである。それに対して冬眠研究はかなり特殊なテーマで、国内外でも取り組んでいる研究者はごく限られている。要するに教科書でしか勉強したことがないテーマなので偉そうに解説するのは何となく気が引けるのである。

 しかし今回はご要望? にお応えして、冬眠という奇跡的な現象がどのようにして生じているかご紹介したいと思う。なんといっても、冬眠研究では近藤宣昭(こんどう のりあき)先生という世界をリードする素晴らしい成果を上げた日本人研究者がおられる。今回は近藤博士の業績を辿る回と表現しても過言ではない。

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