第85回 一目瞭然! 通勤時間と睡眠時間を比べて分かること

 通勤問題は先の都知事選でも公約の1つに挙がるくらい都市部に暮らす人の悩みの種だね。特に長距離通勤は大変。往復で3時間、なんて人もいるからかなりのストレスになるよね。

 睡眠時間に食い込むだけじゃなく、通勤時間は生活の幸福感も大きく減らしちゃうみたいだね。英国の研究者の試算では、通勤時間が片道10分、往復で20分延びただけで、月収1800ポンド(約27万1千円)の人が340ポンド(約5万1000円)減収になるのと同程度に幸福感が減少するというんだ。

 ホント、よく分かります。私なんて寝不足に加えて朝のラッシュで揉まれているときは、圧縮袋に入れられた羽毛布団のような気分になります。

 ヒツジ君の周囲の乗客は眠くなるかもね(笑)。それはともかく、生活時間にゆとりが無くなっている人が多い中、睡眠時間が通勤時間に圧迫されていることが読み取れるデータがあるよ。

「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)から15歳以上の男女のデータを使用して作成した。各ドットは各都道府県のデータを示す。一部の都県のみ名前を記載した。横軸の通勤時間は片道にかかる時間(分)。左図では平日(赤)と休日(青)の睡眠時間を分けて表示した。右図の縦軸は平日と休日の睡眠時間の差で、睡眠不足の度合いの指標。(画像提供:三島和夫)
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 この図は総務省が5年に一度行っている社会生活基本調査の平成28年度分のデータを使って私が作成したものです。

 まず、左側の図は通勤時間と睡眠時間の関係を示したもので、平日を赤、休日を青で分けてます。ヒツジ君、まず平日(赤)のデータから何が分かる?

 これは一目瞭然ですね。平日では通勤時間が長いほど睡眠時間が短いです。それにしても、秋田や青森と比べると、やっぱり関東では通勤時間が長いですね。平均して片道1時間ということはもっと長い人も相当数いるわけですよね。

 神奈川の通勤時間が一番長いのは東京都内まで通勤している人も多いからかな。実は担当のSさんも神奈川から都心へ出勤組なんだよ。大変だよね。

 縦軸(時間)と横軸(分)の単位が違うから分かりにくいけど、秋田や青森と関東の平日の睡眠時間の差が何分くらいか計算してごらん。

 えーと、秋田と青森が約7.9時間で、関東が約7.3時間だから、その差は0.6時間で3、40分と言ったところでしょうか。あ、そうすると通勤時間の差がそのまま睡眠に跳ね返っている計算ですね。

 そうなんだよ。実際、退職すると通勤が無くなるからか、平日と休日の睡眠時間の差がほとんど無くなることも分かってます。

 でも、朝と夕方の通勤があるから往復で通勤時間は1時間くらい地域差があるのじゃないですか?

 お、さすがヒツジ君、細かいところまで気がつくねぇ。睡眠に影響するのは主に朝の通勤時間です。出勤時間は全国ほぼ同じなので、朝の通勤時間がそのまま起床時刻に響くからです。その点、夕方の通勤は他の生活時間で帳尻を合わせられる。

 じゃ、今度はトリ君、休日(青)のデータから何が分かる?

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