世界中にファンをもつ凄腕ドッグトレーナーのシーザー・ミラン。新しい書籍『ザ・カリスマ ドッグトレーナー シーザー・ミランの 犬が教えてくれる大切なこと』の発売を記念して、みなさまから広く質問事項を募りました。うち7つをシーザー・ミラン本人に尋ね、今回もとても真摯な回答をいただきました。
 本日より1日1問ずつ、順番に公開します。

Photograph by Robin Layton
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1. 犬と暮らすにあたり、心掛けるべきことは何でしょうか?

 まず、犬は人間と同じようにものを考えないということを覚えておいてほしい。頭脳の仕組みがもともとちがっているんだ。それを無視して人間と同じ感情を当てはめたり、人間の子どものように接しているとトラブルになる。

 例えば、ごほうびを与えていいのは、犬が適切な行動をして、しかも穏やかな状態のときだけ。いちばんだめなのは、興奮した犬を静めようとして抱きあげたり、なでたりすること。犬は「飼い主がいまの態度を気にいっている」と受けとめて、攻撃やおびえの行動がさらにエスカレートする。むしろ必要なのは、飼い主の穏やかで毅然としたエネルギーだ。興奮にむやみに同調するのではなく、あるべき態度をお手本として示してやれば、犬はあっというまに落ちつくんだ。

2. 人間が犬に見習うべきことをひとつ挙げるとしたら何でしょうか?

 人間が見習えることはたくさんある。まさにそれが、『シーザー・ミランの犬が教えてくれる大切なこと』のテーマだよ!

 でもひとつだけ挙げるとしたら、「いまをそのまま受けいれること」だろう。人間は、自分が気にいらないことがあると、それで頭がいっぱいになる。何とかして変えたいとあれこれ悩み、できないとなると落ちこみ、腹を立てる。

 でも犬はすべてをそのまま受けいれる。人間を判断するときも、基準は目の前の行動だけ。いやだなと感じたら、黙ってその場から離れる。犬はいまの瞬間を生きていて、ありのままの生活を存分に楽しんでいる。そうすれば、肩の力が抜けてリラックスできると教えてくれているんだ。

3. 犬が一番悲しむことは何だと思いますか?

 「ない」というのが答えだ。悲しむといった気持ちは人間だけのもの。それをつくりだすのは感情と自我だが、犬にはそもそも自我がない。犬を怖がらせたり、身体を痛めつけたりすることはできても、犬を悲しませたり、傷つけたりすることはできない。

 犬が悲しんでいるように思えるのは、人間が自分の感情を犬にかぶせているだけの話。愛犬を悲しませたくないと勝手に思って、しつけや矯正をしないのは大問題だ。「おまえは悪いことをしている」と教えられたら、犬は素直にそれを受けとめるだけ。悲しんだり落ちこんだりはしない。

4. 「常に飼い主がリーダーであるべき」と心がけても、どうしようもなく落ちこんでいて、毅然とした態度でいられない時は、犬の前でどうしたらいいでしょうか? シーザーは犬に慰めてもらうといったことはないのでしょうか?

 落ちこんだときに犬に慰められることはあるし、ぼく自身も経験がある。

 犬は人間のエネルギーにぴたりと同調できるので、私たちの気分を敏感に察知するし、沈んだ心を明るくしようとがんばってくれる。だけど、弱々しく不安定なエネルギーが犬に伝わるのは良いことではない。飼い主としては、どん底に落ちこんでいても露骨に態度に出さず、穏やかな心をできるだけ保つようにしよう。

 簡単なことではないけれど、そのうち犬のために立ちなおろうと思えてくるはず。それもまた、犬を飼う喜びのひとつだ。

Photograph by Allen Birnbach
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5. いままでに、本当に手に負えなかった犬はいましたか? そうした手強い犬に直面した時に心がけていることは何ですか?

 攻撃性が強すぎて、行動の予測がつかない犬とは何匹か出会ったことがある。たいてい脳に障害を負っていて、リハビリが不可能な状態だった。そういう犬は、扱いかたを心得た人に預けることになるが、そこでも他の人間や動物との接触を断たれた状態で一生を送るしかない。残念なことだけれど、ブリーダーによる過剰な近親交配で、狂暴な犬が生まれてしまうことはよくある。

 もちろんこれは極端な例であって、実際のところ「手に負えない犬」はいないに等しい。「手に負えない行動」はたくさん見るけれど、それはすべて飼い主のせいだ。飼い主が穏やかで毅然としたパックリーダーであれば、犬の行動も自然と落ちついてくる。

 もしコントロールできないと感じたら、迷わずプロの助けを借りよう。これは車と同じこと。ふだんの手入れは自分でやれるけれど、エンジンが爆発したら修理工場に持ちこむしかないし、それを恥だと思う人は誰もいない。

6. 私の犬は家ではそこそこ大人しいのに、遊びに行ったり車に乗ったりすると大興奮して手に負えません。どうしたら落ち着かせることができるでしょうか?

 まず、外へのお出かけと穏やかな態度を関連づけることから始める。お座りをして静かに待てるようになるまでは、リードは着けないし、出発もしない。あらかじめ運動をたっぷりさせて、興奮したエネルギーを発散させておくことも必要だ。車内では専用ハーネスやリードを使って後部座席に固定する。車内を動きまわったり、窓から顔を出したりするのはダメ。さもないと犬がおもしろがって過剰に興奮する。

 だが何といっても、外出先での行動を決めるのは出発前の精神状態だ。だから「おとなしくする=お出かけ」という図式をしっかり定着させることが重要になるんだ。

7. 日本に来る予定はありますか?

 日本は息子のカルビンが大好きな国でもあるし、ぜひ訪ねてみたいと思っているよ! でも残念ながら、いまのところ予定はないんだ。


 前回のアンケート企画「皆が知りたいことを、シーザー・ミランに聞いてきました!」もご覧ください。


翻訳=藤井留美

『ザ・カリスマ ドッグトレーナー シーザー・ミランの 犬が教えてくれる大切なこと』

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2017年9月4日発売。
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