皆が知りたいことを、シーザー・ミランに聞いてきました!

いま世界中で人気を集めているドッグトレーナーのシーザー・ミラン。犬との生活に役立つ知識をまとめた本『ザ・カリスマ ドッグトレーナー シーザー・ミランの 犬と幸せに暮らす方法55』の発売を記念して、「シーザー・ミランに聞きたいこと」を募集しました。投票結果はこちら。日本のファンからの質問に快く応じてくれたシーザー・ミランの回答を、一日一つずつ、順番にご紹介していきます。

Photograph by Allen Birnbach
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1. あなたが考える、優れた飼い主の共通点はありますか? また、ダメな飼い主とは?

 「優れた飼い主」「ダメな飼い主」という区別は、僕は好きじゃない。大切なのは、飼い主とパック(群れ)の関係のバランスだ。

 良いバランスを保つ飼い主は、パックリーダーとして犬たちにルール・境界・制限を設定するし、運動・しつけ・愛情を与える順序を厳格に守る。犬を溺愛しすぎたり、ルールを決めずに放任していると、飼い主とパックのバランスが崩れる。パックを仕切るのはあくまで人間の役目だ。

2. これまで番組で出会ったなかで、とくに思い出深い犬のエピソードはありますか?

 思い出深い犬はたくさんいるけれど、なかでも忘れられないのはギャビンだ。爆弾探知犬としてイラクに派遣されたが、帰国後に二度もハリケーンを体験したせいで大きな音を怖がるようになり、探知犬の役目も果たせず、すっかり殻に閉じこもってしまった。トレッドミル(運動器具)を使ったトレーニングを初めて試みたのがギャビンだった。トレッドミルで歩かせながら大きな音をそばで慣らし、恐怖心を克服するというものだ。

 このリハビリが成功して、ギャビンはPTSDから回復し、ふつうの生活を送れるようになったんだ。

3. 我が家の犬が、家族のなかの1人に対してだけ、攻撃的な態度をとります。どうすればいいでしょうか?

 まず、人間は犬より立場が上であるとわからせ、家族の誰かに攻撃的な態度を見せたら、ただちに叱ることだ。攻撃のターゲットになっている本人が自分のスペースを明確に主張し、許可なしに犬を立ち入らせないこと。

 次に、その家族が犬に食事を与え、散歩をさせるようにする。そうすれば犬はおいしいものをくれる人だと学習するし、散歩を通じて結びつきを深めることができる。

Photograph by Robin Layton
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4. 保護犬の里親になろうと思っています。成犬や、過去にトラウマがある犬の場合、どのように接してあげればよいでしょうか?

 ほかの犬と同じ接し方で大丈夫。過去を引きずらないのが犬の良いところで、虐待や放置の経験があっても、いま頼りになるパックリーダーがいればそれでいい。

 問題はむしろ、犬の過去にこだわり、かわいそうだと思ってしまう人間のほうだ。そんな弱々しいエネルギーを感じると、犬は不安になっておどおどする。

5. 家族に対しては従順なのに、他の犬に対して攻撃的だったり、ひどく怯えたり、避けたりします。散歩中に他の犬と遭遇したらどのように対処すればいいでしょうか。このことがあると、散歩に出るのも気が重いです。克服できるのでしょうか?

 克服できるかどうかは、飼い主しだい。散歩中にほかの犬と遭遇して、あなたの犬が良くない行動を始めたら、まず自分のエネルギーを確認してみよう。飼い主自身が、何か起きるのではないかと不安や心配を抱え、神経をとがらせているのでは? そんな飼い主のエネルギーがリードを通して犬に伝わるから、犬は攻撃的になったり、憶病になったりするのだ。

 よその犬を見かけても飼い主は動じないように。愛犬が不穏な反応を見せはじめても、リードを引っ張って制するだけにする。友人やご近所さんの飼い犬といっしょに散歩させたり、ほかの犬との接し方を学べるトレーニングを受けるのもいい。

 飼い主が穏やかで自信にあふれていれば、犬は飼い主を守ろうと身構えなくてすむ。

6. 老犬と楽しく暮らすコツ、気を付ける点などについて教えてください。特に死期が近いときにとるべき態度(穏やかに安心させる、毅然と振る舞う、など)は? そして、ペットロスの克服方法はあるのでしょうか?

 7~8歳を過ぎて高齢になった犬は、健康診断を年1回から2回に増やし、痛みや不具合がないかよく観察する。犬は言葉で訴えることはできないので、立ち上がる、寝そべる、車に乗り込む、階段を上り下りするといったいつもの動作が急にできなくなったら、関節炎などの病気を疑ったほうがいい。獣医に相談すれば、適切なサプリメントや薬を処方してくれるだろう。

 愛犬との別れはつらい。長年生活をともにしてきた犬ならなおさらだ。ただ、犬には死の概念がないので、死を恐れながら最後の日々を過ごすことはない。飼い主がどうするかはそれぞれの選択だ。できるかぎりの治療をして、少しでも長く生かしてやりたいと思う人もいれば、つらい手術や治療はあえてせず、痛みだけ楽にして安らかに旅立たせようと考える人もいる。

 愛犬が死んだあと、悲嘆の日々が続くのはごく自然な反応だ。そこですぐに次の犬を飼い始める人がいるが、それはまちがっている。悲しみが癒され、ポジティブなエネルギーで新しい犬を迎えられるようになるまで待ったほうがいい。

7. シーザー・ミランさんが飼い主に必要なものだとおっしゃっている「エネルギー」を意識していますが、どうもうまくいきません。どのように認識して、どのように犬に伝えればいいか、コツを教えてください。

 パックリーダーが力を発揮するには、穏やかで毅然としたエネルギーを出さなくてはならない。そうすれば犬のエネルギーは穏やかで従順なものとなり、パック内に良いバランスが生まれる。では、穏やかで毅然とするにはどうすればいいだろう。

 僕が勧めるのは、想像力を使う方法だ。有名な指導者、ヒーロー、あるいは親や教師など、思い浮かべるだけで自分まで自信が湧いてくる人物はいないだろうか。物語のキャラクターでもいい。彼らのどんな態度や振る舞いが、あなたの自信を呼び起こしてくれるのか考えてみよう。彼らの立ち姿や、動き方をまねしてみよう。大きく、深く息を吸い、全身をリラックスさせる。顔を上げ、肩を開いて胸を広げたら、ボディランゲージとエネルギーだけで愛犬とコミュニケーションをとってみる。犬がおとなしく指示に従えば、あなたは正しいエネルギーを出していることになる。

Photograph by Gio Alma
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翻訳=藤井留美
『ザ・カリスマ ドッグトレーナー シーザー・ミランの 犬と幸せに暮らす方法55』

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2017年9月4日発売。
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