国宝 火焰型土器
新潟・十日町市蔵(十日町市博物館保管)、写真:小川忠博
新潟県十日町市 笹山遺跡出土 縄文時代(中期)・前3000~前2000年

 東京・上野の東京国立博物館で7月3日、特別展「縄文-1万年の美の鼓動」が始まった。全国各地で出土した縄文時代の遺物から、えりすぐりの土器や土偶、装身具や石器などおよそ200件が展示されているが、一番の見所は6つの国宝だ。

 縄文時代の遺跡はこれまでに9万件を超える数が確認されているが、数多ある縄文時代の出土品の中でも国宝はたったの6件しかない。実はこれら国宝が勢ぞろいするのは、今回の特別展が初めてという(国宝「土偶 縄文のビーナス」「土偶 仮面の女神」の2件の公開は7月31日から)。

 今からおよそ1万3千年前から1万年続いた縄文時代。その長い歴史の中で生み出された土偶や土器といった道具からは太古の昔につくられたとは思えないほどの高いデザイン性を感じ取ることができる。

ギャラリー:日本の美のルーツに迫る!「縄文展」が開催 写真19点(写真クリックでギャラリーページへ)
国宝 土偶 合掌土偶
青森・八戸市蔵(八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館保管)
青森県八戸市 風張1遺跡出土 縄文時代(後期)・前2000~前1000年

 そもそも縄文時代にもっとも数多くつくられたのは土器だ。煮炊きなどの道具として用いられたものだが、「火焔型土器」はまさに燃え上がる炎を想起させるような形をしており、本来の役割を忘れてしまうほどの力強さと存在感を放っている。

 またおちょぼ口が印象的な「合唱土偶」は体育座りで手を組んだ姿勢から縄文時代の人々の祈りの姿そのものと考えられている。ちなみにこの土偶、ユニークな見た目も相まって、土偶好きの間でも人気が高いという。

 異彩を放つ土偶といえば、「縄文の女神」。ずんぐりむっくりな土偶が多い中、すらっとした姿は八頭身美人と評されている。小顔でありながら目や鼻が描かれていない顔からは表情を読み取ることができず、そのミステリアスな風貌はまさに女神と呼ぶにふさわしい。

ギャラリー:日本の美のルーツに迫る!「縄文展」が開催 写真19点(写真クリックでギャラリーページへ)
国宝 土偶 縄文の女神
山形県蔵(山形県立博物館保管)
山形県舟形町 西ノ前遺跡出土 縄文時代(中期)・前3000~前2000年

 このように土器や土偶に見られる縄文の造形は世界史的に見ても独創的なものだが、芸術的価値をいち早く見出したのは芸術家であり民俗学者の岡本太郎だったというのも興味深い(彼はそれまで工芸品とみなされていた縄文土器の造形美に衝撃を受け、1952年に論文「四次元との対話―縄文土器論」を発表し、大きな話題を集めた)。

 私たちの祖先がどのような思いで土器や土偶をつくったのか、実際に本物を目にしながら想像してみるのも面白いのではないだろうか。特別展「縄文展-1万年の美の鼓動」は2018年9月2日まで開かれる。

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特別展「縄文ー1万年の美の鼓動」

■会期:2018年7月3日(火)~9月2日(日)
■会場:東京国立博物館 平成館(東京・上野公園)
■開館時間:午前9時30分~午後5時(金・土曜日は午後9時まで、日曜および7月16日(月・祝)は午後6時まで)※入館は閉館の30分前まで
■休館日:月曜日(ただし7月16日[月・祝]、8月13日[月]は開館)、7月17日(火)
■公式ホームページ:http://jomon-kodo.jp/

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